選択圧をかけよ

生活

今日は肉体の進化で最も大事な概念である「選択圧」の話をしたいと思います。

選択圧とは別名「淘汰圧」とも言い、生物種を環境が淘汰しようとする圧力の事で、この圧を乗り越える事で生物には選択が働き、進化が促されます。

要は適度にストレスをかけると強くなるという当たり前と言えば当たり前の事ですが、しかし現実的に腑に落として実践できている方は少ないと思っています。

特に中途半端に健康意識が高い方。

食事に気を使ったり、サプリメントを使用したりとそれなりに意識が高い方ほど、選択圧による進化が疎かになっている感じがします。

これはメールの返信やコンサルで得られた感覚なのですが、大切な事なので今回はこの内容をシェアしたいと思います。

この話を理解してもらえれば、あらゆる病を退け、細胞が若返がり、筋肉も発達して、内側も外側も次のステージに持っていく事ができると思います。

栄養学の問題

まず個人的観測ですが、肉体や健康への意識が高まった時、多くの人はサプリに飛びつく傾向にあります。

サプリメント

それは、一番わかりやすいからだと思います。

不足した栄養を補う事で完成に近づくという西洋的なプラスの栄養学的思考です。

確かに、これは一定の効果を果たします。

枯渇していた栄養群を取り入れる事により今まで滞っていた機能が回復するなどして生理作用が高まっていきます。

普段ジャンクフードばかり食べていた人などは、顕著に効果が現れるでしょう。

しかし、実はこの足りないものを付け足すプラスの栄養学には悪い側面もあります。

それは、自ら栄養を産生・変換・維持する能力が弱まるという事です。

分かりやすいのは、必須栄養素群。

ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸などは体内で生成できないという事から必須栄養素と呼ばれ、サプリメントで大量に補給する方もいると思います。

しかし、実はこれらを大量に摂取する事で、逆に不足する事態も起きてしまうのです。

有名なのはビタミンCを毎日大量に摂取した後に突然止めると、極度のビタミンC不足に陥ってしまうという事例です。

不足しないようたくさん補給していた行為が、逆に枯渇を招いてしまう事があるのです。

これに関して細かい仕組みはまだハッキリしませんが、概念的に僕は選択圧が弱過ぎたのだと解釈しています。

楽してたくさん与えられてきた事で体の機能が弱体化し、いざという時に対応できなくなっているのです。

箱入りで大切に育てられたお金持ちのお坊ちゃんが急に社会に出されたら何もできなくなってしまうように。

こういう事態が起きぬよう、僕達には適度なストレスが必要です。

栄養で言えばちょっと足りなくて不満という位で丁度良いと思っています。

そもそも栄養というのはそんなに簡単に不足するものではありません。

必須栄養素の補給に神経質になる方が結構いますが、実はどんな栄養素であっても不足すると大抵勝手に補われます。

勿論、必須栄養素という位ですから、人間の細胞が作り出すわけでは無いですが、我々の体内に寄生する微生物群が作ってくれています。

例えば、腸内菌がビタミンB群やビタミンKを生成するというのは有名な話です。

他にも「原子転換」でカルシウムを生成するものもいます。

原子転換というのは原子の種類を変える作用の事で、例えばカリウムがカルシウムになったりするのですが、僕達の体ではこういう事が起こっているのです。

あるアフリカの部族は塩を全く食べないのに平気なのですが、その人達の体内ではカリウムからナトリウムへの原子転換が行われているのではと言われています。

ですから、栄養不足はそこまで心配するものではありません。

むしろ、ちょっと足りないという選択圧がある事によって自ら栄養を産生・変換・維持する機能が高まるのです。

人間は与えられているとダメになります。

美食大食する人がブクブクと醜くなって生活習慣病に陥る事からもわかると思います。

逆に、与えられない事で進化が促されます。

断食や少食の継続によって長寿遺伝子が発現する話も有名になってきました。

煙草のメリット

繰り返しますが、選択圧が重要です。

以前、不潔さが大事という事を言った事がありますが、これも一種の選択圧になっているからです。

清潔さを求めて殺菌・除菌ばかりしていると善玉菌の力が弱まってしまい、いざ強い悪玉菌に襲われた時にすぐにやられてしまいます。

「頭を清潔に」と言ってシャンプーばかりしていると逆にハゲるのも同じです。

適度に菌に侵されている事が大事です。

それが選択圧となって体を強く保ってくれるのです。

そう言えば、何かの本で医学部教授の方がこんな発言をされていました。

「風邪よりインフルエンザの方がありがたい、それだけ強い免疫力がつくのだから」

多くの人はインフルエンザを怖がってワクチンを打ちますが、むしろ免疫のために、たまにはインフルエンザにかかった方が健康だと言うのです。

なかなか面白い発想だと思いますが、しかしもっと興味深い事を言う学者もいます。

「煙草の煙が免疫機能を高めてくれる」

健康志向の人からすると「とんでもない」と一蹴してしまいそうですが、実はこれが結構な信憑性を持っていたりします。

ある統計データによると「煙草を毎日吸う人」「たまに吸う人」「全く吸わない人」の3者では「たまに吸う人」が最も健康的なのです。

これは色々と検証する必要があると思いますが、選択圧という意味で考えると不思議な事ではありません。

筋トレという選択圧

少し脱線したので話を戻しますが、選択圧は当然、筋肉にも必要です。

「疲れたくな~い」「面倒くさ~い」と言って動かないと、筋肉が衰えて細くなるのは誰しも知っている通りです。

筋肉はトレーニングなどのストレスで強く大きく発達していきます。

そして、骨もトレーニングで発達します。

骨の場合、特に重りを使ったウェイトトレーニングによって骨密度が上がる事がわかっています。

高重量を支えなければいけないストレスに直面する事で骨は進化するのです。

筋肉や骨に選択圧をかけず運動不足のまま高齢を迎えると、高い確率で杖を付いて歩く事になります。

そんな事にならないよう、できる内から適度にストレスをかけていくべきです。

ただ、圧の掛け過ぎには注意が必要です。

ストイックな人はやってしまいがちですが、自分の限界を超えたストレスは進化どころか逆に体が壊れてしまいます。

筋トレの強度を上げ過ぎて筋肉や腱が切れる事もあります。

不潔にし過ぎてばい菌にやられてしまう事もあります。

栄養不足から病気にかかる事もあります。

選択圧はあくまで適度なストレスである事が重要です。

こうした選択圧の概念というのは体だけでなく、仕事でも何にでも言える事です。

今の自分にできる楽な仕事ばかりしていたらいつまでたっても成長しませんよね。

少し背伸びしないとできない位の仕事に挑戦するのが丁度良いのです。

産業も独占状態になって競争が無くなると一気に弱くなります。

東日本大震災で原発事故を引き起こした電力会社を見ればそれは明らかだと思います。

適切な選択圧が人生の向上に繋がると言う事です。

慢性毒と急性毒

ただここで1つ重大な注意点があります。

適度なストレスが良いからと言って「食品添加物を毎日食べます!」なんて事を言うのはどうかと思います。

食品添加物のような刺激は「慢性毒性」という部類に入り、意識に上がらない微量なストレスで、進化の刺激にはなり得ないと思っています。

無防備なまま毒性を受け入れる事になり、少しずつ確実に体を蝕まれていきます。

つまり、毒にしかならない恐ろしいストレスです。

別のところでも言った事がありますが、人間は肉体的にも精神的にも急性ストレスより慢性ストレスで破壊されていきます。

食品添加物、農薬、遺伝子組み換えなどはその典型で、気付かない内に体を蝕み、最後は薬漬けにされます。

満員電車、ローン、ニュース、会社勤め、といったものも慢性ストレスの一種で、ある日突然鬱病を発症する事があります。

猫背も慢性ストレスの1つである日ギックリ腰で立てなくなったりします。

こういった慢性ストレスは害にしかならないので極力避けるべきですが、実際問題として回避するのはなかなか難しい。

その理由の1つは気付けない事。

急性毒性とは違って目に見えて容態が悪くなるわけでは無いので、「まあいっか」と後回しにされてしまう事がほとんどです。

もしくは毒だという事にすら気付けない事もあります。

もう1つの理由は恒常性。

慢性毒は文字通り毎日受けるストレスですが、これが人間の恒常性と合体して安定化してしまいます。

「会社辞めたい、転職したい」と思ってもなかなか踏み出せないのと同じです。

ある意味で居心地が良くなってしまい、立場を変えるのが面倒になってしまうのです。

こうした理由から慢性毒性を抜くのはかなり難しいのですが、肉体の進化成長のためにはやっていかねばならない事です。

選択圧をかけつつ、慢性毒性を抜くのです。

言い方の次元を揃えてみると、適度に急性毒性をかけて、慢性毒性を抜きます。

概ね「選択圧=適度な急性毒性」です。

断食も、筋トレも、不潔さも、全て適度な強さの急性毒性です。

煙草やアルコールが適度かは議論の余地がありますが、頻度や体質によってはなり得ると思います。

勿論、青酸カリやヒ素のようなものは強過ぎるで避けなければいけません。

ホメオパシーの領域ではヒ素も使われますが、あれは天文学的な数値で希釈するからであって、普通に原液を取り込めば簡単に死んでしまいます。

慢性毒性を避け、適度に急性毒性を取り込む、これが肉体進化ひいては人生の向上のキーワードになってくると思っています。

不満足という正しさ

とまあそんな感じでツラツラと意見を述べてみましたが、これまでの話から1つ感じ取って欲しい事があります。

それは、本当に健康的な人は、常に不満足であるという事です。

多くの人が誤解しているのですが、健康体というのは何の不満も悩みも無くて、毎日エネルギッシュでハッピーな状態ではありません。

健全な人は進化のために常に選択圧をかけていますから、そこには何かしらの不満が必ずあるのです。

それこそお腹が空いていたり、寒さと闘っていたり、筋肉痛だったり、手がマメだらけになっていたり。

意識的に上を目指しているのであれば、精神的な葛藤もあるはず。

ただ、それで正しいのだと思います。

あらゆる悩みから解放されて100%満足な真の健康体はこの世に存在しません。

満足したら進化発展はもうありませんから、その人は死んでいるのと同じです。

そもそも人間は不完全で、有限で、動く存在ですから、そんな普遍的真理に到達する事自体があり得ないはずえす。

もし「オレは完璧な健康体だ、毎日ハッピー」と言っている人がいたら、それはただ無知か嘘をついているかのどちらかだと思います。

健康である事は不満足である事。

真の健康体は存在しないという事。

この事を忘れずに日々研鑽してみて下さい。

それではまた。

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コメント

    • どうせ見てないし、返信もないが書いてみる。
    • 2018.05.23 7:48pm

    「適度なストレス」ってのに「幅」がめちゃくちゃありますね。
    圧をかけて潰れる直前まで踏ん張る時もあれば、休む時もあっていいと思いますし、解釈もやり方も「個人にあったやり方」しかないのかな、と。
    それを選択する事すらも「自分が行う」しかないという。
    結局、情報を鵜呑みにせず、自分で消化して進化していくしかないのかなと。
    プラセボ効果なんかは「個人の価値観の代表」ですしね。
    自分が思った事を自分の意思で選択していくことしかできなんだろうなと。

    • 瀬下忠男
    • 2014.12.01 5:14pm

    お世話になります。 FCには参加したのですが参加が遅れたので
    不老不死の特典が貰えなかったのですが今度の健康に関する
    セミナーはこの話が出てきますか

黒羽根雄大黒羽根雄大

物理学専攻・元プログラマー、体を壊して仙人を目指す事になりました。

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