優秀な筋トレベスト3

運動

「今後、筋トレを3種類しか出来ないとしたら何を選ぶか?」

こんな質問を受ける事があるのですが、ここで最近の若者達ならBIG3を選ぶのでは無いかと思います。

BIG3はベンチプレス、デッドリフト、スクワットの事で、パワーリフティングの種目にもなっているものです。

確かにBIG3であれば体の隅々まで鍛える事が出来ます。

筋量も増やしやすいのでボディメイクにもなりますし、筋力も上がって実用的なパワーも身に付きます。

競技として捉えれば重量を伸ばしていく面白さも得られて長期的にも続けやすいとも思います。

そう考えるとBIG3を選択するのは至極真っ当な事と言えるかもしれません。

しかし、僕の出した回答は違いました。

BIG3は良い種目だと思いますし、僕も取り入れていますが、この先ずっと3種しか出来ないと言われたら選ぼうとは思いません。

一番の懸念は怪我です。

初心者だったり、20代30代の若い内だったら問題になり辛いですが、ある程度の重さを扱えるようになって、しかも年齢も重ねて来ると、高重量トレーニングは体を壊すリスクが跳ね上がります。

ベンチプレスでは肩、デッドリフトでは腰、スクワットでは膝など、かなりの確率で故障が発生してくるはずです。

実際、パワーリフターは怪我と隣り合わせの人が大半で、健康的な体とは程遠いと感じています。

また、BIG3で鍛えられる部位はアウターマッスルに寄り過ぎていたり、体を固めやすくするなどの弱点もあるため、僕はBIG3を選びません。

では何を選ぶのか?

今日はその回答と具体的な理由を話してみたいと思います。

生涯3種類に絞るとした時に選ぶ3つの筋トレです。

言い方を変えると、僕が選ぶ優秀な筋トレベスト3です。

怪我のリスクが小さく長期的な健康を保っていられて、インナーマッスルも発達して身体パフォーマンスが高まり、且つアウターマッスルもしっかり発達させられるものです。

均整の取れた体作りのヒントにもなると思いますので、興味あれば参考にしてみて下さい。

腕立て伏せ

筋トレのド基本とも言える種目だと思いますが、基本になっている種目にはそれなりに重要な理由があります。

腕立て伏せは一般的には胸・肩・三頭のトレーニングと思われがちですが、実は腹や背中も連動してくる全身運動で、本質的な身体能力の向上に繋がります。

逆に言うと、腕立て伏せが弱い人の筋肉は見せかけになりやすく、いくら体が大きくて重量を扱えても使える筋肉にならない事があります。

それがよくわかる例を1つ紹介しましょう。

僕の知り合いでベンチプレス120kgを挙げる猛者がいます。

体重も80kg位はありますが、それでも120kgを挙げるというのは、一般人からしたら驚くべき重量かと思います。

しかし問題はここからです。

この方が腕立て伏せを何回出来るかチャレンジしました。

バーベルを120kg挙げられるのだから、さぞ多くの回数が出来るだろうと予想されると思います。

それこそ100回、少なくとも80回は出来そうな感じがしますよね。

しかし、結果は何と8回。

ベンチプレス120kgも挙げられながら、腕立て伏せは8回しか出来なかったのです。

8回と言うと一般的な男性なら誰でも出来ますし、女性でも少し鍛えれば難なく出来るようになるレベルです。

何故こんなに少ない数しか出来ないのか本人も不思議がっていましたが、個人的に理由は明白で、一番の原因は「体幹」だと思っています。

ベンチプレスは仰臥位(背臥位)という仰向け姿勢で行いますが、この体勢だと体幹を使って体を支える必要がありせん。

これは腰を壊し辛いというメリットにもなっているのですが、裏を返すと体幹が鍛えられないデメリットにもなっています。

ベンチが勝手に体を支えてくれるので、ある意味めちゃくちゃ楽な筋トレなのです。(見方を変えれば運動嫌いの人でも取っ付きやすい種目です。)

一方、腕立て伏せの姿勢というのは手足で体を支えていて、俗に言うプランクと呼ばれる種目がデフォルトになります。

そのため、体幹の力で体を安定させ続ける必要が出て来ます。

つまり、胸・肩・三頭というアウターマッスルの他に、体幹というインナーマッスルが同時に使われるとても複雑で難しい筋トレなのです。

ベンチプレス120kg挙げられた人が腕立て伏せ8回で終わってしまったのは、体幹が弱く複雑な運動をこなせなかった事が原因の1つと思います。

蛇足ですが、プランクが5分出来ないという方は体幹が残念な事になっているので、ボディメイクとかやる以前にそちらを優先的に鍛えた方が良いかもしれません。

話を戻しますが、腕立て伏せは他にも意外に背中の筋肉も関わってくるため、大胸筋と広背筋を同時に動かす神経系が整っている必要があり、これもベンチプレスだけでは養えなかったものと考えられます。

総じて言えば、ウェイトトレーニングに慣れ過ぎてしまったため、自体重コントロールを失ってしまったと言ってもいいでしょう。

これでわかると思いますが、腕立て伏せは世間で考えられているよりもずっとずっと優秀な筋トレです。

アウターマッスルとインナーマッスルが同時に鍛えられて、自体重をスムーズに動かす訓練にもなり、怪我もし辛いです。

「しかし、腕立て伏せは負荷が小さくて、筋肉が発達し辛いですよ」

と言う方もいると思いますが、腕立て伏せの負荷を高くする方法は山程あります。

長くなるのでここでは紹介したりしませんが、腕立て伏せはバリエーションがほぼ無限大で、あらゆる用途に応用が効きます。

勿論、筋肥大を狙ってボディメイクをしていく事だって可能です。

懸垂

こちらも筋トレの王道とも言える種目ですが、腕立て伏せ同様、とても優れた筋トレだと思っています。

懸垂の何が良いかと言えば、「ぶら下がる」事によって、肩甲骨周りの筋肉が柔軟性を取り戻す事です。

以前から何度も言っている事ですが、現代人の体は椅子に座ったり、パソコン作業をする中で、筋肉がどんどん固まって行ってます。

特に重症なのが、多くの筋肉が複雑に絡み合う肩関節と股関節周りです。

この辺りは筋肉が過緊張を起こしやすく、筋膜も癒着しまくってガッチガチに固まっています。

その結果、血行が阻害されて凝りが発生したり、神経過敏になって痛みが起こったりしてしまいます。

原因不明の不定愁訴もこうした筋肉の硬質化が影響している事が少なくありません。

これを解消するには筋肉を緩めたり筋膜を剥がす必要がありますが、肩関節周りの筋肉を緩める有効な手段として「ぶら下がり」があります。

正しくぶら下がる事で肩甲骨周りの筋肉が引き伸ばされて癒着が取れ、実際それだけで四十肩、五十肩が治ってしまうという人は結構います。

そして、そのぶら下がった状態から体を引き上げるのが懸垂と呼ばれるもので、体の背面にある広背筋や僧帽筋をしっかり鍛え上げる事が出来ます。

負荷も高いので筋肥大効果も期待でき、ボディメイクの観点でも有効です。

また、懸垂のもう1つ大きなメリットとして、腰への負担が小さいプル種目という事があります。

基本的に背中や二頭筋などを鍛えるのは何かを引っ張るプル種目なりますが、デッドリフト然り、ベントオーバーローイング然り、ダンベルローイング然り、そのほとんどが体を前傾させる運動になります。

別に前傾が悪いわけではありませんが、これで高重量を扱い出すと、どうしても腰椎への負担を強いて腰痛を発症させるリスクが高まります。

腹圧コントロールがしっかり出来ればそのリスクは軽減されますが、それでも年を重ねていた時、いつポキッと行くかわかりません。

その点、懸垂は姿勢が真っすぐ伸びた状態になっていて、しかも空中に浮いているため地面からの反力を受ける事も無く、腰椎にかかる負担は非常に小さくて怪我のリスクが圧倒的に下がります。

念の為に言っておきますが、懸垂に腹圧が要らないわけではありません。

最低限の腹圧がかけられないと体がグラグラ揺れて筋トレどころではなくなるため、自重をコントロールするくらいの腹圧は必要です。

とは言え、腹圧が弱目の人がやっても腰を壊す心配が無いのも事実ですので、その点では万人におススメ出来ると思っています。

肩関節の健全性を取り戻し、怪我のリスクも少なく、筋肉も十分発達させられる懸垂は大変優秀な筋トレと考えます。

スクワット

「やっぱりBIG3じゃないか?!」

と思われるかもしれませんが、ここで言うスクワットはパワーリフティングのバーベルスクワットでは無く、広義的な意味を含めた「しゃがみ運動」になります。

どれか1つに絞るとしたら、脚を前後に広げるスクワット。

トレーニング用語で言えば、ランジです。

これの何が良いかと言うと、片脚ずつのトレーニングとなっているため、実生活や競技での応用が効きやすいという事です。

考えてみればわかりますが、一般的なスクワットのように両脚を揃えて動くなんて場面は、普通に生活していたらほぼありません。

歩くのだって、走るのだって、基本は片脚で行われます。

強いて言えば、垂直跳びが両脚を使いますが、それも一部の限られたスポーツの中でしか行われないと思います。

基本的に二足歩行である人間の動作は片脚ずつ行うようになっており、トレーニングもそれに合わせた方が使い勝手は良くなります。

逆に言うと、両脚のトレーニングはアドバンス的な位置付けであり、片脚トレーニングで余裕の出て来た人が行うべきものです。

と言う事で、まずは片脚で動けるようにする事が大事なのですが、それを最も手軽に行えるトレーニングがランジです。

ランジは脚の運動パフォーマンスとして重要な、背面のお尻とハムストリングが鍛えられやすいメリットもあります。

また、姿勢の前傾する角度が浅いため、初心者でも腰椎への負担が少なく、腰痛などの怪我のリスクを下げてくれます。

それでいてしっかり深くしゃがめるので、股関節周りの筋肉も十分伸ばされ、筋肉の硬直化を防ぎ、血流やリンパの流れも良くなって全身の体調も改善します。

と言う事で様々な観点から考えて、ランジを優秀な筋トレに入れたいと思っています。

欲を言って「しゃがみ運動」という括りにさせてもらえるならば、この他に片脚デッドリフトも入れたいところです。

ボディメイク系のトレーニングではほとんど見かけませんが、ファンクショナルトレーニングでは結構有名です。

ランジ同様に片脚の動作が磨かれ、バランス能力も要求されるために股関節のインナーマッスルも鍛えられるとても優秀なトレーニングです。

重りを持つか持たないかはその人の筋力と技量によりますが、持たない場合は床に手をタッチすると良いと思います。

「腰を壊しそう」と心配される方もいるかもしれませんが、実はデッドリフトは両脚より片脚の方がずっと腰への負担が少ないです。

と言うのも、人間の体は両脚で支えると腰椎が支点になりますが、片脚で支えると股関節が支点になるためです。

やってみるとわかりますが、腰椎にはほとんど負担がかからず、股関節に刺激が集中するはずです。

同様に、支点が股関節なのでハムストリングを鍛えるのにも効果的です。

両脚デッドリフトはどちらかと言うと背中の種目になりますが、片脚デッドリフトはほぼ完全な脚の種目になって来ます。

と言う事で、こうした片脚のしゃがみ運動を推奨していますが、「しゃがみ運動」という括りで良ければ、ここまでを踏まえて、通常の両脚スクワットも取り入れたいところです。

但し、何度も言いますが、片脚が出来てからから両脚です。

この順番を逆に考えている人が多いですが、両脚の方がずっと難易度が高いのです。

両脚スクワットは姿勢が前傾するため、腹圧コントロールを覚えないと腰を痛めるし、お尻やハムストリングに体重を乗せる技術が無いと膝も壊します。

特に深くしゃがみこむフルスクワットの時にそのリスクは跳ね上がるので、慣れていないのであれば浅めのハーフスクワットにすべきです。

浅いスクワットがカッコ悪いと思っている人もいるみたいですが、実用性を考えると実はそちらの方が優秀だったりします。

先程、動作中で両脚を使うのは垂直跳び位と言いましたが、正にその垂直跳びはハーフスクワットの動作に近いです。

実際に垂直跳びをやってみればわかる事ですが、フルスクワットのように深くしゃがむと高く飛べません。

人体の構造上、半分位のしゃがみこみが一番力を発揮できるようになっています。

垂直跳び以外でも、競技全般では深くしゃがむようなシーンはほぼ無く、浅めにしゃがむ動作の方がよく使わます。

実際、世界のトップアスリートの筋トレでは、浅い角度でスクワットする人も多く存在しています。

僕の知人でもクォータースクワットだけをやっていて、垂直跳びで1メートル以上飛べる人もいます。

筋トレは何でもフルレンジが正しいと思っている人が結構いますが、目的によってそうではない場合も多々あるのです。

と言う事で少しズルいような気もしますが、優秀な筋トレ最後の1つは「スクワット」という括りで紹介させてもらいました。

ありふれたものの価値

纏めると、優秀な筋トレベスト3は、

「腕立て伏せ」「懸垂」「スクワット」

と言うとてもありふれた種目になってしまいました。

ありふれたと言うと面白味に欠けるかもしれませんが、それだけ大事で繰り返されて来た証でもあります。

コンサルでも言っている事ですが、健康のためにはアウターマッスルだけでは無く、体幹、肩関節、股関節のインナーマッスルを鍛える事が欠かせません。

そして、腕立て伏せは体幹、懸垂は肩関節、スクワットは股関節に働きかけ、インナーマッスルの向上をサポートしてくれます。

その上でアウターマッスルも併用して鍛えられるわけですから、この3つの種目は非常に優れた筋トレだと思っています。

何よりこの3つで全身を満遍なく鍛えられるところが一番のメリットで、決してBIG3に劣るような事はありません。

それぞれ好みはあるかと思いますが、1つの参考にしてもらえたら幸いです。

無料メルマガ&動画プレゼント

今だけメルマガ読者限定で、

  • 快活に動く「機能的な体」
  • 痛みと無縁の「健康的な体」
  • 均整の取れた「魅力的な体」

をトータルで手にするエクササイズビデオを無料でプレゼントしています。

詳しい内容はこちらから

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

黒羽根雄大黒羽根雄大

物理学専攻・元プログラマー、体を壊して仙人を目指す事になりました。

TOP
CLOSE