今日は珍しくボディメイクに主眼を置いた記事です。
このブログでは健康やパフォーマンス向上の話が中心で、見栄えを良くするトレーニングに警鐘を鳴らす事が多いですが、僕は決してボディメイクを否定しているわけではありません。
体の見た目を変えるのは楽しいし、何かと世に与える影響力も大きいですし、運動を継続していく原動力にもなると思っています。
そもそも健康というものは、見た目の美しさと切っても切り離せないくらい関係が深いものでもあります。
そんなわけで今日は美しい体作りについて話したいのですが、そもそも美しい肉体とはどういうものを指すでしょうか?
美しさの基準は個人個人で違うので一概には言えませんが、例えばボディビルダーのような体かと言われると僕の観点は少し違いします。
確かに凄いとは思うし、トレーニーとして尊敬もしますが、あの体付きにはいつまでたっても違和感を感じてしまいます。
僕以外でも不自然に感じるという声はよく聞きますし、口の悪い人はグロテスクなんて言ったりもすると思います。
それではアスリートのような体が美しいかと言うと、一部の方には感心させられる事がありますが、全体的にはそう感じません。
例えば、野球選手は脂肪が多く、マラソン選手は細過ぎる印象がありますが、これもある程度多くの方達と共有できる感覚だと思っています。
では実際、どのような体が美しいと見られるのか?
なるべく多くの人が良い印象を持つのはどんな体か?
今回は僕の考える美しい体作り、ボディメイクの基準を話してみますので、もし興味あれば見ていって下さい。
どっちが美しい?
それでは唐突ですが、いくつか質問をしてみます。
下の2つの料理では、どちらが美しいと思いますか?
続いて、下の2つの住宅街では、どちらが美しいと思いますか?
最後に、下の2つのバッグでは、どちらが美しいと思いますか?
3点程質問させて頂きましたが、恐らくほとんどの方の回答は、全て「後者」だったのではないかと思います。
では、その美しいと感じた方と、そうでない方の違いは何でしょうか?
3つ全てに共通する概念は何でしょうか?
時間に余裕のある人は一度じっくり考えてみると面白いと思いますが、ここでは先に回答を言わせて頂きます。
その違いは、
美しいと感じにくい方は、効率的過ぎる
美しいと感じやすい方は、無駄が多い
というものです。
最初の料理の画像、先にお見せしたのは誰もが知ってる吉野家の牛丼です。
器に隙間無く食品が盛り込まれていて一切の無駄が無く、口にかっ込みやすい構造にもなっており、栄養吸収という点で非常に効率的です。
一方、後にお見せしたのはル・マンジュ・トゥーという高級フレンチの料理です。
食品に対して無駄に大きい皿が使われており、量も少なく食べにくそうで、どう考えても効率的には見えません。
次の住宅街の画像、先にお見せしたのは都営村山団地です。
同じ構造のマンションがビッシリと隙間無く建っていて、居住スペースとしては非常に効率的になっていると思います。
一方、後にお見せしたのは神戸芦屋の高級住宅街です。
1つ1つ住居の構造が違い、高さも低く、緑もあるため、収容人数は少なくなり、居住スペースとしては無駄が多いです。
最後のバッグの画像、先にお見せしたのは有名なビジネスリュックです。
PCも入る大容量で、リュックにも手持ち鞄にも変えられ、余計な装飾も無く、非常に効率的なバッグです。
一方、後にお見せしたのはブランド品トムフォードのバッグです。
荷物は余り入らず、持ち手の金具は使いにくそうですし、派手な装飾も入っていて、物を持ち運ぶ道具としては無駄が多いです。
こうして改めて説明されるとわかってくると思いますが、美しいものには無駄があり、そうでないものは効率的に作られています。
肉体の美しさ
これは肉体も同様です。
無駄が少なく、効率的過ぎると美的感覚は生まれにくくなります。
例えば、冒頭でお話したアスリートの体というのは正にそれです。
彼らは競技に勝つためにハイパフォーマンスを追求しているため、無駄は極力削り取っています。
野球選手も役割によって無駄にウェストが細くなり過ぎないようにするし、マラソン選手であれば無駄に重い速筋はなるべく付けません。
そうして行く内に、効率化が進み、美しいと感じる体からは離れていきます。
細かい事を言うと、鍛える筋肉の部位も無駄な方が美しく感じたりします。
例えば大胸筋は思っているほど使い道が無く、競技でも使用頻度は低いですが、大胸筋が発達して厚くなると、多くの人はカッコいいと感じます。
腹筋も同じで、本来腹筋はそんなに必要無く、腹圧で体を支えた方が効率的ですが、腹直筋が割れていると、魅力的な体に見えてしまいます。
大腿四頭筋や下腿三頭筋も同様で、本当はそこまで鍛える必要は無いですが、ここの発達はボディビルダーの必須条件です。
無駄な筋肉が存在するところに美があります。
そもそも効率性を考えたら筋肉はそんなに付けるものではありません。
筋肉が多いという事は体が重くなるし、それだけ栄養も必要になるし、生きる上では効率が悪くなってしまう事の方が多いです。
しかし、だからこそ美しいと感じるのです。
何で無駄がある方が美しく感じるのか?
1つは余裕が感じられるからだと思います。
無駄が多ければそれだけ「余り」が出てくるので、余裕が出て来ます。
フレンチ然り、高級住宅街然り、ブランドバッグ然り、全て余裕があると思います。
逆に効率的というのは、ギリギリ境界線を狙うので、何も余らず余裕は皆無です。
牛丼然り、密集団地然り、ビジネスリュック然り、全て余裕が感じられません。
そして、人間は余裕のある方を好みます。
恋愛でも余裕の無い人はモテないと言われますが、余裕の有無は美しさと関連し、無い事は醜さに繋がるからです。
また、無駄は品位を上げる作用もあります。
これは逆の効率性を考えるとわかります。
効率性を求めるという事は言い換えると、いかに少ない労力で大きなリターンを得るかの試みなので、少し無節操な感じがして来ます。
例えば「楽して痩せよう」「楽して稼ごう」みたいな感じで、在り方として下品に見えて来るのです。
牛丼然り、密集団地然り、ビジネスリュック然り、余り品位は感じません。
無駄はその逆で、見返りの少ない事に努力するような感じがあり、奉仕活動のような美徳が出て来ます。
フレンチ然り、高級住宅街然り、ブランドバッグ然り、上品な感じがしますよね。
そして、肉体というのも同じで、少し無駄があった方が余裕や品位が感じられて美しく見えて来ます。
無駄過ぎるもの
では無駄をどんどん増やしていけばいいかと言うと、それはそれで違うのでは無いかというのが僕の意見です。
無駄が余りにも多く、効率性が失われ過ぎると、違和感が出て来ます。
フレンチでも皿に対して食品が余りにも小さくなり過ぎて、栄養を摂れなくなってしまったら美しいとは思えません。
高級住宅街も緑を増やし過ぎてしまって、居住空間がほとんど無くなってしまったら美しいとは思えません。
ブランドバッグもデザインに偏重し過ぎて、物が何も入らなくなってしまったら美しいとは思えません。
無駄が過ぎると、これまた美しさから離れて行きます。
一般人がボディビルダーの体付きを見てしっくりこないのは正にこれだと思います。
ちょっと無駄が多過ぎるように感じる為、人によってグロいなんて言葉まで出て来てしまうのです。
無駄が美しくなる時
ではどう鍛えるのが良いかと言えば、効率の上に無駄を乗っける事です。
無駄というのは、効率性がある事で美へ昇華されると考えています。
料理は栄養として、住宅街は居住スペースとして、バッグは持ち運ぶ道具として、効率性を保ったまま、その上で無駄を設計できると美しいと感じられます。
そう言えば、フレンチの皿は問答無用に効率性が悪いと思っている人が多いですが、実はあの構造はパンを乗っけたり、ソースをかけたりする上でとても効率的な作りになっていたりします。
フレンチが美しいと感じられるのは、効率性に裏打ちされた無駄があるからです。
肉体も同じで、効率性の上に無駄があると美しくなります。
健康レベルやパフォーマンスが高い上で、筋肥大していくと美しくなります。
腹圧のかかるしっかりした体幹がある上で、腹筋が割れていると美しくなります。
インナーマッスルが鍛えられた上で、アウターマッスルがあると美しくなります。
そういう意味ではアスリートが少しボディメイクを意識すると、とても美しい体になりやすいと思います。
効率性がベースとなった無駄が設計されるためです。
要は何が言いたいのかと言うと、最初から無駄な筋肉を増やすのではなく、まずは効率性を考えた体作りを行い、その上で楽しみながら無駄な事をして行こうじゃないかという事です。
それが多くの人に受け入れられる美的感覚だと考えているからです。
結局いつも言っている事と同じ内容を別の表現で言っただけですが、こうした考えに共感できる方は一緒に頑張って行きましょう!
それでは今日はこの辺で。
PS:
無駄と効率のバランスは、元を辿ると男性性と女性性のバランスです。
この話にも興味あればサイズ至上主義に「待った」も見てみて下さい。
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