加熱の知恵

食事

近年の健康ブームにより生食を好む人はかなり増えたと思います。

「酵素が摂れる」「酸化しない」など言われるようになった事で、食事はなるべく「生で」という考え方は結構普及しました。

特にこんなブログを読んでいる意識の高い方は実践している人も多いのではと思います。

朝に果物ジュースを飲んだり、野菜は生サラダにして食べたり、魚も刺身や寿司で食べたりと。

僕自身が勧めてきた事もありましたし、習慣にしている方も結構いると思うのです。

健康志向の方達を中心として生食を採用する層は広がりました。

少し前まではマイナーだった「ローフード」という言葉も定着してきた感じがあります。

今やローフード研究家なんて人まで出て来て、商売のコンセプトにもなり始めました。

色んな先生がこぞってブログや本で紹介してきた事もあり、ビジネスレベルの広がりまで見せるようになっています。

そんな中、逆に加熱料理は悪者扱いされる事が多くなりました。

生食の格好の敵として掲げられて、書籍などでフルボッコされている事もあります。

まあ1つの主張を押す上で敵を作るのはわかりやすく、そうしないと伝わらない部分もあるので仕方無いのですが、それにしても誹謗中傷が過ぎると感じる事もままあったり。

「火を通す=悪」くらいに言われたりもして、それに影響された人達は加熱料理に対してヒドイ偏見を持ってしまう事もあるようです。

しかし、加熱には良い面もあります。

加熱は古くからの人間の知恵であり、伝統的に行われてきた健康法の1つです。

確かに弊害もありますが、プラスの要素があるのも事実です。

そこで、今回は加熱に焦点を当てた食事の話をしてみたいと思っています。

加熱の何が悪いのか、何が良いのか?加熱する時は何に気を付け、どういうルールを持っておくべきなのか?という事を話してみます。

料理は加熱した方が美味しくなりやすいですし、生だけでなく加熱も取り入れていきたい方は是非とも読んでみて下さい。

食に関する知識と実践の幅が広がると思います。

加熱のデメリット

火を加える事でどんな良い事があるのか、逆にどんな悪い事が起こってしまうのかを再整理しておきましょう。

まずはデメリットから。

1.酵素破壊

今、加熱が嫌われる一番の理由はこれになっているかと思います。

ご存知の方も多い通り、酵素は熱に弱く、48度で2時間、50度で20分、53度で2分の加熱で失活してしまいます。

つまり、加熱料理すればほぼ全滅します。

2.栄養素減少

これには2つの側面があって、1つは水溶性ビタミンの消失です。

水溶性ビタミンはビタミンB群やCですが、これらは酵素同様、熱に弱い特徴があります。

特にビタミンCは脆く、かなりの量が失われます。

ビタミンCは人体で最も不足しやすい栄養素なので、そういう意味で痛手なデメリットになっています。

そして、もう1つの側面は単純な漏洩。

加熱調理の過程で食べ物の殻が崩れ、中の液体が流出するなりして栄養分が減ります。

減少量は加熱方法によってかなり変わりますが、これも加熱のデメリットと言えるでしょう。

3.酸化

調理材料によって度合いは変わりますが、火を通す事で酸化が起こります。

酸化した食べ物はフリーラジカルを発生させ、癌や老化を促進しやすくなります。

4.有害物質発生

これが一番デメリットらしいデメリットですが、加熱する事で有害物質が発生する事があります。

AGE、アクリルアミド、アミンなどですが、いずれも発癌性物質として認められており、人体に悪影響を及ぼします。

加熱のメリット

では続いてメリットに行きましょう。

1.表面破壊

火を通すと食べ物の表面が崩れて栄養成分が取り出しやすくなり、結果として栄養の吸収率が上がります。

トマトは加熱した方がリコピンなどの栄養をより吸収できるというのは有名な話です。

2.反栄養素破壊

食べ物の中にはミネラルなどと結びついて栄養の吸収を妨げる物質があります。

加熱はそれを壊してくれるため、やはり栄養の吸収率が上がります。

3.水素結合破壊

炭水化物は生の状態だと水素結合という強力な力で結び付けられており、人間の消化酵素で解く事ができません。

しかし、加熱すると水素結合は崩壊するため、中身が露出して人間でも消化できるようになり、糖質として吸収できるようになるのです。

以前、生玄米を紹介したと思いますが、あれはこの仕組みを逆に利用したものです。

生米の水素結合が糖質として吸収されるのを防ぐため、血糖値上昇や肥満を防げるという食事法でした。

4.緩和作用

例えばニンニクなど、効果効能が強過ぎるものの力を緩和してくれます。

食べた事のある人はわかると思いますが、ニンニクは生で食べると激しい胃痛が起こります。(ジュースにすれば別)

これはニンニクの殺菌作用が強過ぎて、我々もダメージを受けてしまっている状態です。

しかし、火を通す事でその力は緩和され、人間に悪意の無い殺菌レベルになるのです。

以上がメリットデメリットになりますが、この基本を踏まえた上で、次に加熱の性質を掘り下げていきたいと思います。

2種類の加熱

まず、加熱には大きく2種類ある事を覚えて下さい。

「水を使う加熱」と「水を使わない加熱」です。

水を使う加熱とは、蒸したり、スープにしたり、鍋にするものです。

実はこの水を使った加熱では有害物質がほとんど発生しません。

加熱のデメリットが1つ丸々消えるのです。

しかも、スープや鍋に至っては栄養の漏洩も防げます。

調理過程で漏れ出してしまった栄養も液体部分に残っていますから、飲む事で全て吸収できるのです。

酵素破壊や酸化などの問題は依然残りますが、メリットも考慮すると、水を使った加熱は生食と遜色ない健康効果があると思っています。

実際、酵素研究者の方の中では生野菜と温野菜を交互に食べるのが最も人体に有益と言う人もいる位です。

僕と昔から付き合いのある方はご存知のあの鍋料理も、こういう背景を知れば良さがよりわかってくると思います。

さて、問題となるのはもう1つの水を使わない加熱料理になります。

具体的に言えば、揚げる、炒める、焼く、ロースト、グリル、レンジなどです。

こちらはAGE、アクリルアミド、アミンなどの有害物質が積極的に発生します。

栄養の漏れも防げません。

そういった意味で水を使った加熱に比べると総合的に劣ってしまうと言えると思います。

一応取り上げた有害物質についても簡単に説明しておきましょう。

まず、AGEとは「焦げ」の部分に大量に含まれる発癌性物質の事です。

「焦げは余り食べない方がいい」と言われるのはこのAGEのせいです。

近年ではフリーラジカルと並び、老化や癌の主原因として目されるようになりました。

ちなみに、醤油やタレを先に付けて焼くと焦げやすくなってAGEは高くなります。

2つ目のアクリルアミドはポテトチップスに多量に含まれる事で有名な発癌性物質です。

100度くらいの温度ででき始めて、170度で最もできやすいと言われています。

身近な問題として、圧力鍋で発生する特徴もあります。

特に栄養豊富な玄米など、圧力鍋を使って高熱で一気に炊くと、タンパク質と糖質が糖化反応を起こしてアクリルアミドが大量発生すると言われます。

多少面倒ではありますが、お米は土鍋などを使ってじっくり加熱させられるのが理想的という事です。

最後のアミンは窒素残留物の代表で、様々なものと反応して発癌性物質のニトロソアミンを作り出します。

アミンは食品添加物の亜硝酸ナトリウムや硝酸カリウムと反応してニトロソアミンになるため、加工食品はこのリスクが高いと推測できます。

電子レンジの害

水を使わない加熱では主に3つの有害物質が発生するとお話しましたが、中でも一番ヤバいのは電子レンジです。

有害物質が大量に発生します。

更に、電子レンジは栄養の消失もヒドイです。

電子レンジは食べ物の分子を回転させて摩擦を起こすという仕組みになっているため、食品を分子レベルで破壊してしまうのです。

栄養素にもよりますが、ファイトケミカルやビタミン類は80%以上失活してしまうというデータもあります。

これではもう食べている意味がありません。

その食事には意味が無いのです。

電子レンジは電磁波の害もあるので捨ててしまった方が利口です。

「温め直す時にどうしても使いたいのです!」という切実な思いをぶつけてくる方もいるのですが、それには代替品として「蒸し器」があります。

蒸し器

蒸し器があれば温め直しが可能です。

作り溜めしたご飯を復活させる事もできるし、冷めてしまったおかずをアツアツに戻せます。

あまり勧められる事ではありませんが、コンビニやスーパーの食材も温められます。

しかも、水を使った加熱なので有害物質も出ません。

電子レンジと比べると天地の差程メリットがあるので、積極的に取り入れてもらえたらと思っています。

加熱のルール

話を戻しますが、電子レンジ以外の加熱で、揚げる、炒める、焼くに関しては比較的安全な方だと思います。

これらはアミンの発生が多いと言われますが、全体的なリスクは少ないと思って大丈夫です。

但し、こちらは調理油の問題があります。

多くの人が使っている市販の精製植物油は多価不飽和脂肪酸と言って非常に酸化しやすく、フリーラジカルができやすいものです。

そもそも、スーパーにある調理油はトラックで輸送中に酸化し、店頭に並んでいる間に酸化し、買った後に台所で酸化し、加熱調理した時に酸化されるので、もう酸化だらけなのです。

あのオリーブオイルですら、この運命は避けられません。

僕が知りうる限り、これを解決できるのは、「ココナッツオイル」だけです。

ココナッツオイルは飽和脂肪酸なので酸化しづらく、フリーラジカルの発生がほとんど起こりません。

南国では長期保存の目的で使われたりもする程で、それ位酸化し辛く、調理油に最も向いているのです。

最後に、ローストやグリルに関する加熱ですが、アクリルアミドが発生しやすいという特徴があります。

ただ、レンジや油などの2次的な弊害はありませんので、特段意識して気を付ける事は無いと思っています。

食べ過ぎないように注意する位でしょうか。

後は体に任せる他ありません。

という事で加熱の分析はここまでになりますが、最後に結論を纏めておきましょう。

  • 加熱料理をするならスープや鍋がベスト
  • 温め直す時はレンジではなく蒸し器を使う
  • 揚げる、炒める、焼く時はココナッツオイルを使う
  • ロースト、グリルは食べ過ぎないように

以上、これが僕が導き出した加熱の注意点とルールです。

他にも色んな考え方があると思いますが、1つの例として参考にしてみて下さい。

それでは今日はこの辺で。

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黒羽根雄大黒羽根雄大

物理学専攻・元プログラマー、体を壊して仙人を目指す事になりました。

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