カッコいい体、美しい体を作る食事と言えば?
こう言われて、一般的に出て来る答えは「高プロテイン(タンパク質)、低カーボ(糖質)、低ファット(脂質)」というものでしょう。
まあ、誰でも一度は耳にした事がある黄金法則です。
筋肉の原料となるタンパク質を豊富に摂取し、脂肪の原料となる糖質と脂質を極限まで減らすというもので、確かに美しい外見を形成するという意味では理に適っています。
しかし、健康にうるさい僕からするとあり得ない。
何故なら、この食事法は一時的に外見は美しくなったとしても、内臓はボロボロになって、ちっとも健康的ではなくなるからです。
ご存知の方も多いと思いますが、体の機能において最もエネルギーを使う過酷な作業は「消化」です。
胃腸で行われる消化活動は、人間の持つ酵素の大半を消費します。
ある学者によれば、人間が1日に消化するパワーというのは、フルマラソンに匹敵するレベルだとか。(本当?)
僕達は余りその事に気付けず、「食事=回復」だと思いがちですが、実は食事をするとは、内部まで見ると非常に疲れる行為なのです。
そして、中でもとりわけ大変なのが「タンパク質」の消化です。
タンパク質は成分構造が最も複雑な栄養素で、吸収も利用プロセスも大変難しいものです。
糖質などは良質なものなら食べると同時に吸収されますが、タンパク質は何十時間も胃腸に留まり、消化酵素をガンガン使って吸収されます。
タンパク質はタフなのです。
矢吹ジョーさながら打たれ強いボクサーのようで、どれだけ殴ってもなかなか倒れてくれません。
必死に打ち続けている内にこちらが疲れてしまって、いつの間にかエネルギー切れになってしまいかねないのです。
そんなタンパク質を大量に食べていたら、当然内臓は疲れます。
筋肉からしてみれば、材料がたくさん入ってきて嬉しいかもしれませんが、胃、腸、肝臓、腎臓、血管などは凄まじい勢いで疲弊していきます。
しかも、タンパク質は消化が難しい故、腸内で宿便が溜まりやすい。
更には悪玉菌のエサになって、腸内環境を腐敗させ、フリーラジカルなどの有害毒素を発生させる要因にもなります。
そうなれば、肌はボロボロになり、ニキビや吹き出物ができ、痔になったり、ハゲたり、男性ならEDを引き起こす可能性も出てきます。
とにかく、高タンパク食というのは、健康面から見た場合に危険という事です。
少し具体的な事を言うと、タンパク質の1日の摂取目安は、体重×1~1.5g程度に抑えた方が良いと思います。
60kgの人ならば60g~90gです。
一般的な高タンパク食は体重×2~4gと言われますが、やはりそれは過剰摂取と言わざるを得ません。
そもそもタンパク質はそこまで必要なものでは無いのです。
人間はタンパク質の老廃物の70%を体内で再利用できるため、実際に1日で失われる量は23g程度です。
安全の基準から言えばその倍の56g程度が良いだろうと言われており、やはり多くても体重×1.5gが限界と言えると思います。
この量でちゃんと筋肉が成長するか心配になる人もいると思いますが、僕レベル、つまりこのブログのトップ画像に載っている写真程度の体にする位であれば全然問題はありません。
「あんなショボイ体じゃ話にならん」というマッチョな方は消化酵素のサプリメントと併用する事をお勧めします。
理想の食事内容
さて、話を戻しますが「高プロテイン(タンパク質)、低カーボ(糖質)、低ファット(脂質)」が良くないというのであれば、どういう食事が理想的なのか?
僕がお勧めしたいのは「低エネルギー、高ファイバー」というものです。
概念そのものが少し変わってしまいますが、ここで言う「エネルギー」とは糖質、タンパク質、脂質の総称です。
そして、「ファイバー」とは和訳すると食物繊維ですが、ここではビタミン、ミネラル、ファイトケミカルなども含めたエネルギーにならない栄養素群と思って下さい。
そもそも消化活動が行われるのはエネルギー源のみであり、ファイバーは分解の必要が無い程に小さい、もしくはそもそも人間の体では分解できないものです。
つまり、ファイバーはいくら摂取しようとも消化酵素を使わないため、内臓の疲弊が起こり辛いのです。
そして、何と言ってもファイバー食は体の各機能を助ける働きがあります。
フリーラジカルの撃退、コラーゲンの合成、骨の原料、生理作用の活性などにより、肌はツルツルになり、視力は上昇し、骨は丈夫になって、ストレスにも強くなります。
勿論、筋肉の合成も助けるし、脂肪の分解にも役立ちます。
ファイバー食は現代人に不足しがちな栄養でもあるため、これは積極的に大量に摂取して欲しいものです。
一方、エネルギー食は、現代人は過食気味であるため、控えるべきです。
タンパク質についてはお分かり頂けたと思いますが、糖質も脂質も全てに言えます。
先程、糖質は吸収率が高いと言いましたが、ケーキ、チョコ、お菓子などの原料であるショ糖は、分解作業に非常に骨が折れると言われています。
脂質の消化もタンパク質程ではありませんが、糖質よりは大変です。
そして、何よりも糖質と脂質は所謂「贅肉」に直結する食べ物なので、肉体改造をする身としては、やはり控えるべきと言えます。
とは言え、完全に絶ってもいけません。
極端な健康主義者は、急に糖質を完全に絶ってしまったりしますが、それでは低血糖が起こり、体は死に向かう以外にありません。
糖質制限で有名なアトキンスダイエットの考案者であるロバート・アトキンス博士も生前、高血圧と心臓病を患っていたという報告があります。
脂質も同様です。
脂質は細胞膜の70%、脳の60%を構成している大変重要な栄養素であるため、完全に絶ってしまえば、脳ミソが崩壊するのは目に見えています。
そしてタンパク質を絶てば、筋肉の合成ができなくなるため、肉体改造どころの話ではなくなるのは当たり前。
ではどの程度を目安に摂取すればいいのか?
僕個人で色々試した結果、1日1000~1500kcalが適量でした。
一般的な目安で成人男性の1日の摂取カロリーは2000~2500kcalと言われていますが、これは多過ぎです。
そんな事だから毎年、糖尿病や心臓病、癌で死ぬ人が絶えないのです。
個人的にはトレーニングした日は1500kcal、運動しない日は1000kcal位が丁度良いと思っています。
お腹の感覚的では「腹7分目」といったところでしょうか。
「そんなに少量じゃあ力が出ないよぉ」と思われるかもしれませんが、それは過食で脳が麻痺しているだけです。
平日のサラリーマンを見てるとランチをお腹いっぱい食べてたりしますが、そういう繰り返しで現代人は食べる量の感覚が狂っています。
ハッキリ言ってそれは中毒症状で、酒や煙草と同じです。
実際、低エネルギー食の方が、体調はすこぶる快調になります。
筋肉も十分に発達していきます。
更に、低エネルギー食はアンチエイジング界でも最も有力な方法として研究が進んでいます。
長寿遺伝子がカロリー制限で発現するのです。
恐らく、エネルギー源をギリギリに保つ事で、体の生きようとする力が通常よりも引き出されるためと思われますが、ともかく低エネルギー食により僕達は若返るのです。
どうしてもお腹が空くなら野菜やキノコを食べまくってみて下さい。
僕も元々はかなりの大食いなので、今でも夕食のサラダは3人前です。
キムチを400g食べる事もあります。
ともかく、ファイバーならばどれだけ食べても構わないので、そちらでお腹を満たすよう努力をしてみる事です。
1日何食が良いか?
栄養のバランスはこの辺にして、食事にはもう1つ重要なファクターがあります。
それは「食事回数」です。
一般的に肉体改造で言われる食事回数はなるべく「多く」です。
最低でも1日3食、できれば5食や6食が好ましいとされています。
食事を小分けにする事で、糖質の急激な吸収を抑えて、脂肪を付きにくくする事が目的の1つです。
これは力士の食事と逆の発想です。
力士は昼と夜の2食を全力で食べる事で血糖値を一気に上げて体内に脂肪を蓄えるわけですが、その逆をしている事になります。
もう1つ、多い食事回数は筋肉の分解を防ぐという目的もあります。
筋肉は常に合成と分解を繰り返しているのですが、タンパク質が不足すると、どうしても分解に偏ります。
基礎代謝が大きい筋肉は、体にとってエネルギーを無駄遣いする浪費家という位置付けにあるため、構成するタンパク質が不足すれば、無理して維持せず壊してしまえというのが体のシステムなのです。
そんな事態を少しでも減らすため、常に体内にタンパク質を補給するよう食事回数を増やすというわけです。
これらの理由から、食事回数が多い事は肉体改造をするにあたって非常に合理的と考えられるわけですが、天の邪鬼な僕はここでも反対をしてしまうのです。
反対の理由は、やはり内臓が疲れるからです。
現代に出回る肉体改造の情報はどれも「筋肉」と「脂肪」に終始し過ぎです。
目に見える外見ばかりに捉われて、ちっとも内側を見ようとしません。
先程から言っている通り、消化は内臓を疲弊させます。
そんな辛い重労働を1日に5回も6回も強いて常に消化活動を行っているというのは、深夜まで残業し休日も出勤して働き続けるようなものです。
そんな状態にある人間はいつか壊れるわけで、それと同じような状況を作られた内臓もいつかは壊れます。
胃の粘膜はただれ、腸には宿便が残り、肝臓にはコレステロール、腎臓には石が溜まっていくでしょう。
血液はドロドロになり、代謝が落ちて脂肪は分解され辛くなります。
いずれは栄養の吸収も阻害され、筋肉の合成力も落ちていきます。
目先の欲求に捉われた人間の末路は実に哀れです。
こんな事態にならないよう、食事回数は「少なく」が基本です。
多くて1日3食、できれば朝食を抜いて2食が好ましい。
朝食を抜く事で、深夜から午前中にかけて内臓がじっくり休む事ができ、次の消化活動に十分な力を蓄える事ができるからです。
しかも、少ない食事回数は低エネルギー食と相性が抜群です。
1食に食べる量を増やせるため、満腹感を得やすくなるからです。
もともと少ない量を3回に分けると1回の食事が非常に寂しくなりますが、2回に分ける事で、虚無感はかなり減ると思います。
「筋肉の分解が心配ですよぉ」と思われる方、そこまで悲観する事はありません。
定期的に筋トレをして、体に筋肉の必要性を訴え、適切なタイミングで栄養を補給していけば筋肉は成長を止めません。
実際、僕はこの条件の元で胸囲が15cm増えました。
一番大切な事
では食事に関して最後に最も大切な事を1つ。
良い水を大量に飲みましょう。
僕達の体の中で起こる化学反応は全て水の中で起こります。
つまり、体内が水不足に陥っていれば、筋肉の合成も脂肪の分解も何も進みません。
水は全ての反応を促進する上で必要不可欠な触媒とも言えるのです。
現代人は余り積極的に水を飲む人がいませんが、本当の意味で肉体改造をしたい人はたくさん水を飲むべきです。
トレーニング中は勿論、朝から晩まで暇さえあれば飲む事。
最低でも1日に2Lは欲しいところです。
但し、良質な水に限ります。
さすがに最近の近代的なジムでは見かけなくなりましたが、まだボクシングジムなど、昭和の匂いが残るジムに行くと、水道水をガブガブ飲んでいる光景を見かける事があります。
マジ癌になっても知らんぞと。
水道水に含まれる塩素、有機溶剤、トリハロメタンは発癌物質として認められ、現実として多くの犠牲者が確認され始めています。
中には遺伝子の変異を起こす物質がある事もわかっていますし、女性においては水道水で死産のリスクが66%高くなるという報告もあります。
水は浄水器を使ったり、ミネラルウォーターを買うなどして、最新の注意を払ってもらいたいと思います。
という事で、今回は食事について書いてみましたが、ここまでお伝えした内容はジムの4つの基本方針の1つ「内臓まで美しくなる食事」というものに当たります。
これで前回お話した「実用性を重視した筋トレ」と合わせて、ウチのジムの方針を2つご紹介しましたが、残り2つについても近々お話しますので、興味あればまた記事を待っていて下さい。
それでは。
色々と調べて回る内に、こんなHPを掘り当てました↓
http://ameblo.jp/veganbody/entry-10916115023.html
何となく、黒羽根会長と同じ匂いが致しました(笑)
因みに、実験的なブログだそうですけれども
【炭水化物同士で食べ合わせを行えば筋肉も増えるし、植物性食品でだから健康面でもオススメ】
ってお話に関しては素直に面白いと思いました。
この場合、ジャガイモを中心にしたカレーを拵えて、
玄米を使ったライスを炊いてあげれば、
どちらも水を使用して加熱調理したメニューだから、
健康的な肉体改造となるのだろうか…
※非常に勝手ながら、内容をシェアしたいなぁと感じたので、
不躾ですが、リンクを貼らせて頂きました
糖質制限、理論はいいけど実践するとリスクも大きい事が分かります。何となく心の中で思っていたことを、簡潔に記事でまとめていただけるとスッキリしますね。
食事法も人それぞれタイプが異なりますが、総合的にバランスが取れてて「真に強い男」を目指すなら、黒羽根さんの説かれる方法論がベストだと思います。
良質な知識は最強の武器ですね。
おっしゃる通り、最近のアメリカでの研究ですが1日のたんぱく質の摂取量が同じなら食事の回数を変えても蛋白同化に変化はなかったという結論が出ています。
しかし、いまだに1日に5回も6回も食事をとることがベストであるという誤った情報が蔓延していますね。
ズバリ非常に良いアドバイスです。こちらは肉食が多いので偏り気味ですが、魚肉や鶏肉はどうでしょうか?野菜は以前のFCでのアドバイスで野菜ジュースを毎日心がけています。基本は酵素を大切にする様に食事を行う様にしています。今後とも宜しく。
いつも貴重な情報、ありがとうございます。
毎回、楽しく読ませていただいています。
食事の話、上の人が言っているように、
目からウロコでした。
確かに、高タンパク質の食事にしなさい、
間食を増やしなさい、
と言われていて、実践していましたが、
よく気分が悪くなったり、
お腹の調子が悪くなったりしていました。
それが原因で、一時トレーニングが
止まったこともあります。
この記事に書いてあることを実践して、
上記のような写真の体型になれるなら、
御の字です。
実践したいと思います。
いつも目からウロコで
お世話になっています。
今回も
霧が晴れたようです。
私は昭和の定説・価値観でした。
今日から変えます。
ありがとうございます。