「市販の酵素ドリンクって加熱処理されるはずだから意味が無いのではないか?」
こんな疑問を抱かれる方は結構います。
昨今、酵素ドリンクが非常にもてはやされるようになりましたよね。
健康に良いとか、ダイエットになるとかで、にわか健康マニアの間では大分流行っているような感じがします。
近頃は芸能人も広告塔に乗り出して、一般人にもある程度浸透して来ています。
そんな中、少し詳しい方であれば、当然この疑問が浮かんで来ます。
「食品て加熱殺菌の義務があるよね?」
「そんでもって酵素って熱に弱いよね?」
「じゃあ酵素ドリンクって効かなくない?」
三段論法的にこうなるわけですが、今日はこの話をしたいと思います。
市販の酵素ドリンクは果たして効くのか?
もしや、販売者は我々を騙しているのか?
こういう実態に突っ込んで行きます。
そして、ただそれだけではつまらないので、そこから飛び火して多くの方が勘違いしている酵素ドリンクの本性にも迫ってみたいと思います。
最終的には実用レベルで何をすべきかまでお伝えするので、良かったら読んでみて下さい。
酵素の入っていない酵素ドリンク
さて、ご存知の方も多いと思いますが、日本の食品には食品衛生法にて加熱殺菌が義務付けられています。
酵素ドリンクのようなpH4.0未満の密封食品の場合、65度以上で10分程度の加熱が余儀なくされます。
そして、酵素は熱の耐性が低い事で有名です。
具体的に言うと、48度では2時間、50度では20分、53度では2分で失活してしまいます。
日本の食品衛生法で処理した場合、酵素はほぼ完全に消える事になります。
つまり、酵素ドリンクに酵素は入っていません。
では何故、酵素ドリンクなる物が堂々と売られているのか?
実はここには名前のトリックがあります。
明確に言っている人を見た事はありませんが、市販の酵素ドリンクの「酵素」とは、ドリンク中に含まれる酵素の事ではありません。
我々の体内にいる「酵素」の事を指しており、酵素ドリンクにはその体内酵素の力を補う「発酵菌」が入っているのです。
つまり、酵素の入ったドリンクでは無く、体内酵素を強化するドリンクという意味です。
多くの人はこの事に気付いていません。
宣伝している芸能人もわかっていないでしょう。
ほとんどの人はドリンク中の酵素が体に何かしら作用するものと思っていますが、実際に入っているのは発酵菌なのです。
「そんなの名前詐欺じゃないか?!」と思われる方もいると思いますが、実はそうとも言えないところがあります。
と言うのも、字を見てわかる通り、発酵の「酵」は酵素の「酵」と同じです。
これは発酵菌が酵素を使うからで、そもそも酵素の由来が発「酵」の「素」なのです。
つまり、発酵と酵素は非常に近しい関係であって、どちらの名前を使ってもおかしな話ではなくなります。
確かに、市販の酵素ドリンクに酵素は入っていません。
しかし、体内酵素を補完する発酵菌が入っている事、そして、酵素の語源が発酵から来ている事、これらから酵素ドリンクと呼んでも不思議ではないのです。
後は大衆受けが良さそうという理由で「酵素」が採用されたのだと思います。
酵素ドリンクは意味が無いのか?
話を戻しましょう。
酵素ドリンクには酵素は入っていませんでした。
代わりに発酵菌が入っていました。
ではその発酵菌は熱で死なないのか?
発酵菌も熱に強いわけではありませんが、酵素よりは強く、食品衛生法の加熱殺菌でもある程度生き残る事ができます。
最も代表的な乳酸菌は、60度で30分、100度でも数秒はもちます。
酵母菌も60度以上で数分間は耐えられます。
ですから、発酵菌は完全に消滅する事無く、ある程度は生きてドリンク中に残ります。
また、酵素と違って死滅した発酵菌は腸内で生きた乳酸菌の餌になったり、悪玉菌を排出する力がある事もわかっています。
つまり、生きた発酵菌と死んだ発酵菌、両方の角度からポジティブな効果をもたらす事が考えられるのです。
更に言うと、酵素ドリンクには発酵させる段階で砂糖や塩の浸透圧によりエキスが抽出されます。
このエキスにはビタミン、ミネラル、ファイトケミカルなどあらゆる栄養素がしみ出しており、これらも健康に大きく貢献してくれます。
つまり、結論を言うと、市販の酵素ドリンクは効きます。
酵素は入っていませんが、健康効果は十分に考えられます。
ただ、わかっておいて欲しいのは、酵素ドリンクは酵素が入った飲み物ではありません。
発酵菌、ビタミン、ミネラル、ファイトケミカル、その他未知の栄養素を含む「マルチドリンク」と言った方が正確だと思います。
結果オーライと言えばそれまでですが、ネーミングのおかげで混乱している方が多いので、この辺はきちんと抑えておいて下さい。
酵素の本当のメリット
ちなみに、僕が以前に動画や雑誌で紹介した手作り酵素ドリンクには酵素が入っています。
自作のため加熱処理をする必要が無いので、酵素もそのまま残ってくれています。
但し、ここでも勘違いしてはいけないのが、外部から摂取した酵素は消化吸収する際に胃や腸で分解されてしまうという事です。
酵素とはタンパク質の一種なので、生理学的に言えば消化管でアミノ酸に分解されてから吸収されます。
つまり、植物から摂取した酵素が体内で働くという事は基本ありません。
そもそも人間の酵素と植物の酵素は違いますから、同じ働きをされても困ります。
もし働いてしまったら、例えば葉っぱを食べた事で我々の体が緑色になってしまうかもしれません。
そんな事にならないよう、一度バラバラに分解されて働きを失ってから吸収されるようになっているのです。
外部酵素のメリットがあるとすれば、消化管内です。
外部から入ってきた酵素は分解される前に胃腸の中で活躍してくれる事があります。
消化酵素などがその典型的なものであって、その名の通り、我々の消化吸収を助けてくれます。
他にも消化管で働いてくれる酵素はあるはずなので、そう考えると、手作り酵素は市販には無いメリットを与えてくれる物と思います。
ついでに手作り酵素のメリットを言っておくと、混ぜ合わせる時に自分の手の常在菌が付着し、自分専用の発酵菌が出来上がります。
これは世界に2つと無い自分に最も適合した菌として、我々の体をあらゆる面から助けてくれます。
また、手作り時の原料は春夏秋冬その土地のものを使うため、環境的にも最適な栄養として出来上がります。
良質な酵素ドリンクの選び方
少し脱線が過ぎましたね。
話を市販の酵素ドリンクに戻しましょう。
一先ず市販のものでも酵素ドリンクには効果がある事はわかりました。
では、どんな酵素ドリンクを選べばいいのか?
手作り出来ればそれにこした事は無いですが、時間も手間もかかるので何とか市販で済ませたいという方は多いと思います。
これに関して僕からヒントを言うなら「ドリンクで無いものを探してみて下さい」という事です。
実は市販の中には飲み物である事を想定して作っているけれど、飲み物としては売っていない酵素ドリンクのようなものがあります。
その心は、加熱処理を避けるためです。
食品衛生法で飲食扱いになってしまうと、どうしても加熱処理で酵素が失活し、生きた発酵菌の数も減ってしまいます。
これを避けるには加熱処理をしない他無いわけですが、そうするには食品では無い事にするしか無いのです。
実は本物志向の販売者はこういう形で商品を売っています。
飲み物、ドリンクとしては販売せず、敢えて微生物資材などとして販売しているのです。
こうする事で手作り酵素と同じく、酵素や発酵菌もそのまま摂取できるからです。
勿論、効果も普通の酵素ドリンクに比べて圧倒的です。
ですから、酵素ドリンクを活用したい場合、ドリンクでは無いものを探してみて下さい。
この絞り方を知っているだけで、酵素ドリンクから受ける恩恵は劇的に変わってくると思います。
と言う事で今日は以上となりますが、少しとっ散らかってしまった気がするので、最後に纏めておきます。
- 市販の酵素ドリンクに酵素は入っていない
- しかし、酵素ドリンク自体に効果はある
- 酵素が欲しければドリンク以外を探してみる
以上、酵素ドリンクについてでした。
PS:
手作り酵素ドリンクについて知りたい方は、野草で作る自家製酵素ドリンクを見てみて下さい。
はじめまして。
たいへん興味深い記事をありがとうございます。
飲める微生物資材はどこで買えますか?
調べてみてもわからなかったので
教えてください。
よろしくお願いします。