ダンベルのススメ

運動

以前、バーベルのススメという記事を書いて、比較相手のダンベルを散々に陥れてしまいましたが、今回はそのダンベルさんにスポットを当てたいと思います。

バーベルには無いダンベルが持つポテンシャルやメリット、そしてダンベルが勧められる理由についてです。

「結局、どっちがいいんだよ!」と言う人も出て来そうですが、それは時と場合と目的で違います。

このブログの読者なら大半はわかっていると信じていますが、良い悪いの価値基準は見る角度によって全く異なります。

例えば、僕はスロトレを推奨してませんが、それは「実用面」という角度から見た場合の価値観です。

しかし、「経済面」「安全面」「効果面」などで考えればスロトレは非常に素晴らしいメソッドだと思っています。

前に「ハーブの危険性」という記事を書いた事がありますが、ハーブが問題となるのは食べ物と同じように毎日摂取した場合です。

タイミング良く摂取すればハーブ程、体を健康にしてくれるものは無いと思っています。

何でもそうです。

お酒だって百薬の長と言われる良い面があるのと同時に、肝臓障害や中毒性などの悪い面が存在します。

煙草には肺を傷つけるという悪い面があると同時に、ストレスを解消できる良い面があります。

甘い物も筋トレ直後なら筋肉の発達に貢献しますが、運動しないで食べていれば贅肉になるだけです。

バーベルとダンベルもそれと同じで、見る角度によってメリットデメリットがあります。

僕がしたいのは、様々な知見を取り入れる事で、読者の視点を増やしてあげるという事です。

視点が増えれば色々な角度で物事を見る事ができるようになり、下手な情報に流されずに自分の頭で正しく肉体改造ができるようになると思っています。

そんなわけで今後もこのようなスタイルを続けようと思っており、今回は新たな視点としてダンベルの良い面を話してみようと思うわけなのであります。

という事で前置きが長くなってしまいましたが、最初に言っておきたいのは「バーベルのススメ」で書いたように、僕はダンベルは上級者向けという位置付けで見ています。

左右の腕をバラバラに操作するダンベルは、1つのバーを両手で支えるバーベルよりも遥かにバランスが取り辛いです。

また利き腕などの関係から左右で扱える重さに違いが出て、均等に鍛える事が難しくなる側面を持っています。

ですから僕はダンベルこそ上級者向けと思っており、バーベルである程度の体ができたら、そこから細かい調整をしたり、片方ずつ集中して鍛えるために使うのが効果的だと思っています。

一先ずこういう概念が大前提にあるわけですが、それを踏まえた上で、僕はダンベルにはバーベルには無い魅力が3つ程あると思っています。

ダンベルでしか得られないベネフィットなわけですが、ここでは具体的なトレーニング種目を取り上げながら説明してみたいと思います。

魅力1:バーベルではできない種目がある

効果は高いのにバーベルでは物理的にどうしてもできないダンベルオンリーの種目がいくつか存在します。

例えば、フライ。

フライ

大胸筋を鍛えるポピュラーな種目ですが、見てわかる通りバーベルではできません。

フライは左右に持った重りを胸の前で合わせる動きで、バーが1つのバーベルではできません。

しかし、大胸筋の発達という意味ではフライは非常に大きな効果を持っています。

バーベルで行うベンチプレスと違ってバーが胸でつかえてしまうような事が無く、ダンベルをギリギリまで降ろせますから、胸が最大限までストレッチされます。

筋肉は一番伸ばされたところから力を込めると最も成長するため、そういう意味でフライは非常に効果が高いのです。

かのマッスル北村さんも「僕の胸はフライで作った」と言う位です。

ここで僕のブログをずっと読んでくれている人からは、「フライは単関節種目だから、余り良くないんじゃない?」と言う意見が出て来ると思います。

単関節種目は別名「アイソレート」とも言いますが、1つの関節や1つの筋肉を使って鍛える種目で、僕は実用面の問題から単関節種目は推奨していません。

フライもそうですが、単一の関節や筋肉をターゲットとしたトレーニングをしていると全身の連動性が弱体化し、実際の場面で使えない体になってしまうからです。

ですから、僕は筋トレにはなるべく多関節種目を取り入れるように言っています。

多関節種目は別名「コンパウンド」とも言いますが、複数の関節を使って色んな筋肉を動員させて行う種目で、正に使える体が出来上がります。

ですから、僕は胸を鍛えるなら多関節種目であるベンチプレスかディップスが良いと言ってきたわけなのですが、ただそれは初心者向けの話です。

最初に話した通りダンベルは上級者向けです。

既にベンチプレスやディップスである程度の体ができている人が、部分的に胸を強化したいという目的で行う分には全然構わないと思っています。

それに、多関節種目は実用性を高めるメリットがある一方で、筋肉を丁寧に動かせなくなるデメリットがあります。

多関節種目は全身の力を総動員するが故に、個々の筋肉への意識が低くなって動きが雑になりがちなのです。

そうなると、例えば胸を鍛えたくてベンチプレスをしているのに、実は胸をほとんど使えずに肩と腕だけのトレーニングになってしまったりする事があります。

こういう事象はしばしば起こっている事なので、たまには単関節種目をやる事も重要な働きがあるのです。

要はバランスの問題です。

多関節種目も単関節種目もどちらも重要で、時と場合によって使い分ける必要があります。

個人的には、初心者の内は100%多関節種目で行い、慣れてきたら30%位までは単関節種目も取り入れていっても良いかなと思っています。

多関節と単関節を両方取り入れる事で、弁証法的に体の使い方が上手くなるはずです。

さて、ダンベルでしかできな種目は他にもあります。

例えば、ハンマーカール。

ハンマーカール

ハンマーカールはアームカールと似ていますが、ダンベルを持つ手の向きが体に対して垂直です。

バーベルでは構造的にアームカールのような体と平行して持つスタンスしかできませんので、物理的に不可能です。

厳密に言うと、トライセプスバーという特殊なバーベルを使うとできますが、通常のバーベルではできません。

基本的にハンマーカールはダンベル特有の筋トレとなります。

このハンマーカールはアームカールでは難しい「上腕筋」と呼ばれる力コブ部分のインナーマッスルが発達します。

上腕筋※「筋肉の基本と仕組み」抜粋

これは実用面で考えると非常に重要な筋肉で、引き付けなどの動作が格段に強くなります。

具体的には腕相撲が強くなったり、柔道で相手を手繰り寄せるパワーが上がったり、そういう力がアップします。

更には縦に持つ事で握る力が要求され、握力も上がります。

これらは上腕二頭筋メインで握力も必要としないアームカールでは鍛えられない内容であり、ダンベルの大きなメリットになると思います。

他にも上腕三頭筋を鍛えるためのキックバックやフレンチプレスがあります。

キックバック フレンチプレス

見てわかる通り、こうした動きもバーベルでは不可能で、ダンベルでしかできないトレーニングになります。

魅力2:バーベルより効果が高い種目がある

バーベルでもできるのだけれど、ダンベルでやった方が圧倒的に効果が高いものがあります。

例えば、ベンチプレス。

この事に気付いている人は結構少ないですが、実はベンチプレスはダンベルでやった方が効果があります。

理由はフライと同様で、胸が最大限にストレッチされるためです。

バーベルで行うと、どうしてもバーに引っかかって、最後の最後まで大胸筋を伸ばす事ができません。

しかし、ダンベルはバーの制限が無いので、筋肉の限界点まで引き伸ばす事ができ、大きな負荷を与える事ができるのです。

バーベルベンチプレスストレッチ ダンベルベンチプレスストレッチ

同様にショルダープレスもそうです。

肩を鍛えるショルダープレスもバーベルでは結局のところバーが胸で引っかかってしまうのです。

ショルダープレスは胸まで下げられればそれで十分という意見もありますが、ダンベルでやると更に更に下げる事ができます。

バーベルショルダープレスストレッチ ダンベルショルダープレスストレッチ

肩関節を全て動かしたフルレンジの動きが可能となり、バーベルよりも大きな筋肉の発達が見込めます。

ローイングも同じです。

やはり、バーベルで行うバーベルローイングではバーがお腹でつかえてしまって最後まで引き上げ切る事ができません。

完全にフリーとなったダンベルを使う事で、広背筋を限界まで動かす事ができるのです。

バーベルローイングストレッチ ダンベルローイングストレッチ

更にはアームカールもダンベルの方が効果が高いと思います。

アームカールは上腕二頭筋をメインに鍛える種目ですが、実はここの筋肉は肘だけでなく、肩まで跨ぐ二関節筋です。

上腕二頭筋※「筋肉の基本と仕組み」抜粋

多くの人は肘の屈曲だけを意識していますが、実は肩を動かす時にも使用されていて、その働きも利用すると更に効果が高まります。

例えば、デクラインライイングダンベルカール。

デクラインライイングダンベルカールストレッチ デクラインライイングダンベルカール

ベンチなどに寝転がって肩を体より下に落としたところからアームカールをする方法ですが、腕を下げた時に上腕二頭筋が最大限にストレッチされるので、効果が高くなるのです。

これは構造上、バーベルではできず、ダンベル特有の筋トレになります。

魅力3:バーベル以上に実用的なトレーニングが行える

個人的にはこれが最も重要なのですが、「ワンハンドスタイル」でバーベルよりも効果的で実用的なトレーニングが行えるという事です。

例えば、ワンハンドショルダープレス、ワンハンドアームカール。

ワンハンドショルダープレス ワンハンドアームカール

これらは片手に高重量の重りを持ち、全身の力で持ち上げるトレーニングです。

全身と言った通り、肩や腕だけでなく、足腰や体幹まで使い、バネの力も利用します。

片手だと両手よりも体幹が自由になりますから、全身の力を利用しやすくなっています。

通常こうした動きは「チート」と呼ばれます。

チートとはズルという意味ですが、ターゲット以外の筋肉まで使って楽して持ち上げてしまう方法です。

ただ、楽すると言っても、ここでは楽できない程の高重量を扱うので、実際は楽ではありません。

通常の筋トレ同様辛いし、下手するともっとキツイです。

このトレーニングの何が良いかと言うと、非常に実用的な筋肉が付くという点です。

「使える筋肉」という記事でも少し話しましたが、高重量をチートで扱う事によって多くの筋肉が参加して全身の連動性が高まります。

体幹も使えるようになって、反動の使い方も上手になります。

そもそも実際の動きというのは、片手片脚で行われる場合がほとんどです。

スポーツや格闘技を思い返せばわかる通り、実際に人間が行う動作は片手片脚が基本です。

野球の投球然り、
サッカーのキック然り、
ボクシングのパンチ然り、

まさか両手でパンチする人はいないと思います。

そんな動きでは腰が回転せずに、蚊も殺せないパンチになってしまいます。

動作の基本は片手片脚です。

ワンハンドトレーニングというのは、そういう意味で実際の動きと最も近く、実用的な筋トレと言えるのです。

勿論、チートとは言え、高負荷を扱えばネガティブなストレスなどの作用で筋肥大にも効果があります。

色んな面でワンハンドトレーニングは重要だと思っているので、何かしら取り入れてもらえたらと思っているところです。

このトレーニングに関しては少し動きが複雑でお手本が必要な気がするので、次回に動画でも作ってみようと思います。

興味あればそちらも参考にして下さい。

という事で、結構長くなってしまいましたが、今回はバーベルをひたすら悪者にしながらダンベルの良いところを語ってみました。

バーベルだけやってると飽きたりもするので、マンネリ防止という意味でもたまにはダンベルを使ったトレーニングをされてみると面白いと思います。

それではまた次回。

PS:

ワンハンドトレーニングの動画出来ました。

ダンベルで「使える」体を作るワンハンド筋トレです。

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黒羽根雄大黒羽根雄大

物理学専攻・元プログラマー、体を壊して仙人を目指す事になりました。

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