筋トレには、枚挙にいとまがないほどのメリットがあります。
筋力の向上、体脂肪の減少、骨密度の強化、姿勢の改善…など、これらは全て、科学的にも実践的にも証明されている事実です。
一方で、筋トレのデメリットやリスクを執拗に指摘する声があるのもまた事実です。
「身体が酸化して老ける」「部分的に鍛えると全身の連動性が失われる」「筋肉が硬くなって怪我をする」…など、ネガティブな意見を耳にした事がある方も多いのではないでしょうか。
確かに、これらの中には一理あるリスクも存在します。
しかし、本日お伝えしたいのは、「実はそのリスクこそが、長期的に見てあなたの人生に計り知れないメリットをもたらす」という逆転の事実です。
既にハードなトレーニングを積んでいる人にも、これから筋トレを始めようか迷っている人にも、今後の人生を左右する重要なマインドセットになるはずですので、ぜひ最後まで読み進めてみて下さい。
ぶっちゃけ無視していい2つのデメリット
巷でよく言われるデメリットのうち、「酸化リスク」と「連動性の喪失」の2点に関しては、結論から言って、ほぼ無視していいと断言しておきます。
まず酸化についてですが、ご存知の通り、人体のメインエネルギーは酸素であり、私達の身体には酸化ストレスに対抗するための強力な抗酸化システムがデフォルトで備わっています。
面白い事に、激しい運動をして一時的に酸化ストレスがかかる程、この抗酸化システムもより活発に働くよう設計されています。
そのため、一般レベルの運動による酸化リスクを過剰に懸念する必要はありません。
むしろ、運動不足による血流悪化や代謝低下のデメリットの方が遥かに深刻です。
気持ち的には「積極的に動かして、抗酸化システムをハックする」くらいで丁度良いのです。
運動に対して酸化リスクを持ち出すのは、運動したくない人の格好の言い訳に過ぎないと個人的には感じています。
次に連動性の喪失についてですが、特定の筋肉をターゲットにして細かく分けて鍛える(ボディビル的アプローチ)事で、一時的に全身の連動性が失われやすくなるというのは事実です。
しかしこれも、スクワット、デッドリフト、ベンチプレスに代表されるBIG3など、全身を連動させるコンパウンド種目(多関節運動)をメニューに組み込んでいれば、懸念するほど失われる事はありません。
これも酸化と同様、運動不足によって基礎筋力そのものが衰えるデメリットに比べれば微々たる問題で、やはり積極的に筋トレを行うメリットの方が圧倒的に勝ります。
デメリットが最高のメリットに化ける時
では、筋トレにおける本当のデメリットとは何でしょうか?
それは、筋拘縮(筋肉が過剰に緊張して硬くなること)と、それに伴って引き起こされる怪我や関節痛です。
筋トレとは筋肉に強い負荷をかけて強制的に収縮させる行為なので、これを繰り返すと当然、筋肉は硬化し、その筋肉が跨いでいる関節(腰、膝、肩など)を引っ張って、痛みを発生させるリスクが高まります。
これは紛れもない筋トレの負の側面ですが、ここからが本題です。
このデメリットこそが、長期的に見て「生涯現役」という特大のメリットに変わるのです。
どういうことか?
一言で言えば、筋トレによる筋拘縮は、後期高齢者のコンディションを、若い段階で早期に擬似体験(シミュレート)している状態なのです。
少し噛み砕いて解説しましょう。
筋トレを繰り返してケアを怠ると、筋肉は縮んで硬くなります。
血行不良が起き、コリ、ハリ、そして慢性的な痛みに発展しますが、お気付きの通り、この状態は正に高齢者の身体そのものなのです。
人間は加齢とともに、誰しも筋肉が少しずつ硬くなっていきます。
筋トレをハードに行うという事は、その老化プロセスを一時的に、かつ局所的に超高速で再現している事に他なりません。
もしこれを放置すれば、筋拘縮はさらに進行して怪我を招きます。
それでも対処しなければ、硬化した筋肉が骨を引っ張り続け、やがて骨格そのものを歪め、元に戻らない不可逆的な変化を起こします。
街で見かける、背中が90度近く曲がったまま固まってしまっている高齢者の方は、まさにこのプロセスの終着点です。
あの域に達してしまうと、現代医療や代替医療のアプローチでも元に戻すのは至難の業です。
しかし、もしあなたが現役のトレーニーであれば話は別です。
筋トレによって、早期に筋肉が硬くなって関節が痛むという高齢者予備軍の状態を経験するからこそ、私達はどうすればこの拘縮が解け、骨格の歪みを防ぎ、身体の健全性を取り戻せるか?という課題に若いうちから直面し、その解決策を学ぶ事ができるのです。
単に老いていく人とトレーニーの格差
筋トレをせず、単なる加齢によって静かに筋肉が硬くなっていった人達は、「コンディショニング」という概念すら持たないまま年齢を重ねます。
そして、ある日突然訪れる首肩コリ、腰痛、膝痛にひたすら悩み、騙し騙し生きるだけの余生を送る可能性が非常に高いと言えます。
一方で、筋トレを通じて早期に高齢者の身体(=筋拘縮)を再現し、その都度、適切なケアによって身体をゼロ(快適な状態)に戻す経験を積んできたトレーニーはどうでしょうか。
彼らは、年を重ねて不調が起きても動じません。
「ああ、あの筋肉が硬くなっているから、ここをリリースして、あそこを活性化させれば治るな」と冷静にロジックで対応できるのです。
いわば、身体のトラブルシューティング能力がバグレベルに高まっている状態です。
だからこそ、死ぬまで自分の足で元気に歩いていける「生涯現役」を高確率で掴み取る事ができます。
ここで重要なのは、バカみたいにスクワットやベンチプレスだけをしていれば良いわけではないと言うことです。
- 筋トレで硬くなった筋肉を適切に解放する(筋膜リリース・ストレッチ)
- 現代生活やデスクワークで使われなくなりがちな筋肉を呼び覚ます(アクティベーション)
この筋トレ(破壊・収縮)とコンディショニング(再生・伸張)の両輪をセットで回すからこそ、加齢によるリスクを完全にコントロールできるようになります。
天才の根性論に惑わされるな
偉そうに語っている僕ですが、若い頃は単に筋トレ(破壊)だけを盲目的に続けていた時期がありました。
その結果、腰、首、膝、肘、肩、手首、背中…、ありとあらゆる筋肉と関節を痛め散らかし、本当に酷いどん底を経験しています。
特に腰をやった時は、身体が文字通り側屈(横に曲がった状態)で固まり、「二度と真っ直ぐ立てないんじゃないか?」と本気で絶望しましたし、膝をやった時は二度としゃがめない不安に駆られ、肩をやった時は二度とベンチプレスはできないと諦めかけました。
そんな満身創痍の中、幸運にもコンディショニングの重要性と科学的アプローチに実体験として出会う機会に恵まれ、そこから僕の生活は一変しています。
筋トレによる怪我に怯える事はなくなり、一時的に不調が起きても「2〜3日あれば確実にセルフでリカバリーできる」という絶対的な自信が生まれ、今では身体の故障が全く怖くありません。
中年以降になると、筋トレで怪我をして全力で動けなくなることに不安を抱き、泣く泣く大好きなトレーニングを断念してしまう人を多く見かけますが、適切な引き出し(戻し方)さえ覚えれば必ず復活できると、希望を持ってほしいのです。
厄介なのは、世の中にはコンディショニングなんか一切しなくても、毎日ハードに重量を追い求め、一切怪我をしないというバケモノが実在することです。
いわゆる「フィジカルモンスター」です。
パーソナルトレーナーとして多くの身体を見てきて分かったのですが、トップアスリートや一部のインフルエンサーには、どれだけ酷使しても筋膜が癒着しにくく、常にしなやかさを保ち続ける特殊な筋質を持った人がいます。
そして最悪なのは、こうした天才の発する気合と根性論に惑わされ、同じように真似をして身体を壊していく真面目な一般トレーニーが量産されていることです。
20代なら若さというバフで誤魔化せても、30代になるとハードトレーニングの代償で筋拘縮を起こし、40代では痛みでトレーニングを諦める人が続出します。
だからこそ、重量を挙げる技術と同じかそれ以上に、身体を健全な状態に戻すメンテナンススキルを同時に覚えて欲しいのです。
全ての人へ健全なる筋トレを
今回の内容を整理します。
- 筋トレのデメリットとされる「酸化」「連動性の喪失」は、実務上ほぼ問題にならない。
- 真のデメリットは「筋拘縮」と「怪我」だが、これは後期高齢者の身体の早期シミュレーションというメリットでもある。
- 筋トレと「コンディショニング」をセットで行うことで、老後のリスク回避能力を若いうちからコンプリートできる。
つまり、今この瞬間から筋トレと適切なケアをセットで習慣化することは、「自分は生涯現役でいられる」という絶対的な確信を投資として買い取る行為なのです。
という事で本日はこの辺で終わりますが、根性論の筋トレを卒業し、自分の身体をロジックでコントロールできる賢いトレーニーが一人でも増えることを願っています。
今回の話が少しでも考になりましたら幸いです。


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