体を癒すために温泉施設へ行く人は多いと思います。
温泉には様々な治療効果があるとされ、健康のために積極的に通っている人もいる事でしょう。
旅行と合わせて有名な温泉地へ足を運ぶのは勿論ですが、最近では都心部でも手軽に温泉施設へ行けるようにもなりました。
温泉地から湧き出た湯を運んだり、地下水を汲み上げる事により、東京近郊でも温泉に浸かれるようになっています。
施設内は飲食店や娯楽も充実していて居心地も良く、相当な数の人達が温泉施設を利用していると考えられます。
しかし、個人的には現代の温泉施設には悲観的です。
健康になるどころか、むしろ体を壊す可能性もあると思うからです。
温泉施設に行くなら、家で風呂に入った方がまだマシです。
これは都心部のスーパー銭湯的なものだけでなく、割としっかりとした温泉地にも言える事なのですが、今日はこの話をしたいと思います。
温泉施設の実態です。
普段の食生活には気を付けている方でも、温泉となると自動的に何でも良いと思ってしまう人が多いですが、今回はそんな健康問題の抜け穴になりやすい温泉事情をお伝えするので、興味あれば見ていって下さい。
さて、近年の温泉施設には大きく2つの問題があると思っています。
それは「施設のシステム」と「温泉のクオリティ」です。
1つずつ見てみましょう。
恐ろしい三点セット方式
まずは施設のシステムについてですが、実は多くの温泉施設は毎日お湯の交換が行われていません。
浴槽の温泉を循環濾過して使用しており、同じお湯が何度も使われています。
お湯を変えるのはせいぜい1週間に2~3回がいいところです。
濾過しているから問題は無いと言う人もいますが、1日に何千人もが入浴したお湯を適切なレベルで濾過し続けるのは不可能です。
その証拠に、循環風呂ではよくレジオネラ菌問題が発生します。
レジオネラ菌とはアメーバなどに寄生して増殖する菌ですが、人工温泉で大量に増殖しやすく、ヒトに感染します。
感染すると高熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛、咳、悪寒、下痢、幻覚などが起こりますが、抵抗力の弱い人は大事に至る事もあり、実際に死者を出した温泉施設もあります。
つまり、汚いのです。
家の風呂でも家族全員入った後はかなり汚れていて、毎日お湯を変えなければとても入れないと思います。
しかし、温泉施設では大量の人間が入るのに、週に数回しかお湯を変えないために、衛生面から考えて非常に不潔です。
「いやいや消毒してるから大丈夫ですよ」
と言われる方もいると思いますが、それがまた問題です。
1日に2000人も3000人も入浴するお湯の中は大腸菌だらけになっていますが、それを何とかするために施設では塩素を入れます。
それも極めて強い塩素が入る事が多いです。
ご存知の通り、この手の塩素は有毒で、コップ一杯の水に指を差し込んだだけでも、約10万個の細胞が破壊されると言われています。
また、紫外線の影響を受けやすくなり、シミ、ソバカスが増えます。
極め付けに、発癌性のあるトリハロメタンを生成します。
そして、塩素殺菌された水は、飲むより浴びる方が、はるかに多く吸収される事がわかっています。
15分シャワーを浴びた時に吸収される化学物質の量は、1リットル水を飲んだ時の量と同じです。
これがいかに恐ろしい事かわかるでしょうか。
平成に入ってからオープンした公共温泉の90%は、この濾過・循環・塩素殺菌の三点セット方式になっていますので、温泉施設に行けば行くほど、そうした害を受ける可能性があります。
ちなみに、三点セット方式の風呂に共通して見られるものとして、湯口から浴槽に大量にお湯が注がれているという事があります。
これは温泉が豊富にあると見せかけているのですが、一方で大浴槽から一滴もお湯が溢れていません。
大量に注がれたお湯は塩素消毒され、何度も何度も循環しているのです。
実際、本当に良い温泉はお湯が少ししか出ていない事が珍しくありません。
それは元々熱かった温泉を、水道水で冷やすような事をせず、湯量を抑える事で自然と冷やすための真っ当な手段なのです。
死んだ温泉水
続いて温泉のクオリティに関してですが、冒頭でも言った通り、最近は温泉を外部から持ち運ぶという事が頻繁に行われています。
温泉地から湧き出た温泉をトラックに入れて遠くまで輸送する事で、温泉の出ない土地でも温泉が楽しめるというコンセプトですね。
一見素晴らしいように見えますが、実はこれには問題があります。
意外と意識されている方は少ないのですが、温泉は鮮度が命です。
温泉は地表に噴出した瞬間から変性が始まります。
急激に圧力が抜けて炭酸ガスが逃げ出し、ミネラルは酸化して成分も変わります。
例えば、鉄は湧き出た時は無色透明の二価の鉄ですが、空気に触れると酸化して茶褐色の三価の鉄になります。
そして、二価の鉄は鉄欠乏性貧血に効果がありますが、三価の鉄だと最早効果がありません。
温泉は生き物であり、時間と共に劣化していきます。
一般的に3日でただの水になると言われています。
更には循環・濾過のシステムに組み込まれる事で、硫黄なども抜けやすくなっていきますので、実際にはもっと早く効果が無くなると思います。
温泉施設のお湯は死んでいます。
それは温泉というより銭湯なのです。
ちなみに、最近は温泉脈をポンプで汲み上げて温泉施設を作っているものもあると思います。
ポンプは時代と共に強力になっていき、今では都心部でさえも温泉を吸い上げる事が出来るようになりました。
現代のテクノロジーを持ってすれば、恐らく日本中どこでも温泉を汲み上げられると思いますが、実はこれにも問題があります。
本来、温泉水は地球規模で循環しています。
しかし、深層部には循環水が無いので、汲み上げ続けると枯渇してしまうのです。
実際、既に枯渇した温泉は随分あると言われていますが、その時に追加されるのが水道水や真水です。
多くの人はその事を知らずに、源泉のつもりで有難く入っていますが、後から普通の水が追加されたお湯を果たして温泉と言って良いものでしょうか?
複雑な温泉事情
著名な温泉の研究者がこう言ってます。
「日本の温泉は限りなく水道水化している」
「現代は塩素漬けの循環風呂が列島を席捲しつつある」
何とも悲しい事態だと思いますが、この背景には温泉と経済の関係があります。
日本人の温泉信仰は金になります。
温泉分析書付きの天然温泉のお墨付きさえあれば、本物の温泉でなくても納得してもらえます。
温泉法はザルなので、東京郊外に有名な温泉地のお湯を持ってきたら、それだけでブランドとして成り立ちます。
そして、ハードルの低い温泉法をギリギリクリアした温泉を最大限に有効活用しているのが濾過・循環風呂です。
実際には温泉の効能とは程遠いのですが、それがまかり通ってしまうのが現代なのです。
という事で何だか暗い話ばかりになってしまったので、最後に一抹の希望となる温泉選びの指針をお伝えしておきます。
偽物の温泉に騙されず、良い温泉を選ぶ基準は2つです。
- 三点セット方式の温泉施設を避ける
- 泉源に近い温泉施設を選ぶ
三点セット方式は健康被害が考えられるので、とにかく避けるのが第一です。
その上でなるべく泉源に近い温泉を選んでみて下さい。
既に述べたように温泉は地上に出た瞬間に酸化され変質されていきすので、泉源に近い方が良い湯と言えます。
鮮度の高い本物の温泉であれば、間違いなく体に良いと思いますので、上手に温泉と付き合ってもらえたらと思います。
それでは今日はこの辺で。
温泉が好きで色々なところへ行きますが、残念だと感じました。
いい温泉を探して、いい温泉に入りたいと思います。
温泉の成分を考えてみれば至極当然のことだったと思いますが、温泉=健康という概念のままでした。