驚異のプラセボ

生活

1957年に起きた嘘のような本当の話。

心理学者ブルーノ・クロッファーはかなり進行した癌患者を治療していました。

通常の治療は全て行いましたが、癌は全身に転移してしまい、患者に残された時間は後僅か。

ある時、患者はクレビオゼンという新薬を知り、是非自分に投与して欲しいと願い出ます。

当時この薬は寿命3ヶ月残されている人にだけ試験的に投与されていたものです。

医師は初め拒みましたが、患者の強い気持ちに負けて内心では無理だと感じながらも投与する事にしました。

ところがなんと、その週明けに患者はベッドから出て歩き回ったのです。

患者の腫瘍は半分の大きさになっていました。

10日後患者は退院し、癌は消え、驚くほど元気になっていました。

それから2ヶ月ほど経過した頃、「クレビオゼンは実は効果がない」という記事が現れ始めます。

それを見た患者は非常に落ち込み、何と癌が再発してしまいます。

この時、医師はある試みのため、患者にこう言います。

「クレビオゼンは当初通り効果があるけれど、最初の物は流通過程で品質が劣化したようです。改良された新薬品があるのでこれを試しましょう。」

勿論、新クレビオゼンは存在せず、ただの水を注射しました。

すると、またも腫瘍は消え去り、患者は元気を取り戻したのです。

しかし2ヵ月後、今度はアメリカ医学協会が正式に「クレビオゼンに癌を治療する効果は無い」という発表をしました。

これを見た患者には癌が新たに広がり、2日後に死亡してしまったのです。

思い込みの力

ご存知の方もいるかもしれませんが、これは有名な「プラセボ効果」のお話です。

プラセボとは偽薬とも言われますが、本物の薬のように見えるけれど薬効成分を全く含まない偽物の薬です。

このプラセボが現実的に効果を発揮する事をプラセボ効果と言います。

日本では「プラシーボ効果」とも言われますが、一般的に否定的な見方をされる事が多いです。

「ただの思い込み」と軽視され、「科学的で無い」と反感を買いがちです。

代替医療のホメオパシーが日本で広まらないのもこのプラセボ効果への偏見が強いからです。

ホメオパシーで使う薬の成分は異常な程に希釈され、理論的には元の分子が存在しないレベルになります。

それ故に、非科学のレッテルを貼られて、結果が出ているにも関わらず、プラセボだと一蹴されてしまいます。

ホメオパシーがプラセボかの議論はここではしませんが、重要なのはプラセボには現実的な力があるという事です。

先程の例はかなり極端だとは思いますが、偽薬で癌が消えたり再発したりするのです。

薬と言って砂糖玉を出して重病が治ってしまうケースも多々あります。

また、プラセボによる鎮痛効果は侮れず、既に1954年から偽薬を鎮痛薬として与えると30%に鎮痛効果が認められたと報告されています。

最近では偽薬でも3割は効く事がわかってます。

そして、本物の薬が効くのは5割程度であり、偽薬と本物の薬で力の差はほとんど無いのです。

「バファリンの半分は優しさで出来ている」なんて言われますが、あれもあながち間違った表現ではありません。

プラセボ効果の研究によると、本物の酒を飲まなくても、酔っ払う事がわかっています。

トニックウォーターとライムだけの飲料をウォッカだと信じ込んで飲んでいた人達は、判断力が悪くなりました。

また、この人達は簡単なテストも出来なくなり、IQも低くなった事がわかっています。

そう言えば、以前、ダチョウ倶楽部の上島竜兵がただの水を焼酎の水割りだと思って飲んで、ベロベロになったという話もありました。

プラセボを科学的に解釈しようとすれば、脳の神経伝達物質で一応の説明が出来ます。

脳のニューロン達は思考する時に神経伝達物質なるもので情報交換をしますが、実はこの受容体が内臓や免疫にも存在するのです。

つまり、思考がダイレクトに内臓や免疫に入り込んで影響を与えると言う事です。

思考

例え偽薬であっても「これで治る」と強く信じられれば、それが生理的な作用を及ぼしてしまうのです。

プラセボを利用する

そう考えると、このプラセボは健康は勿論、肉体改造にも応用が効くのがわかります。

思考が肉体に影響するのですから、自分の考えによって肉体を理想的な状態へ持っていける事が十分あり得るわけです。

例えば、プロテインを飲むにしても、「これで筋肉が付く」と強く信じられれば、本当に体が大きくなってきます。

ダイエットのために有酸素運動をするにしても、「今、脂肪が燃えている」と強く信じられれば、みるみる内に体は絞れてきます。

薄毛、アトピー、便秘、花粉症などであっても、自分の対策を信じる事により、治るスピードが上がっていく事が考えられるのです。

ただ問題は、この「信じる」という事です。

思考すれば誰でも理想を叶えられるわけではありません。

心の底から信じる事が出来なければ、プラセボ効果は本領を発揮してくれません。

ここが難しいのですが、多くの人は自分の判断を信じ切る事ができていません。

「このサプリメント使ってていいのかな?」
「この運動方法で間違ってないかな?」

と半信半疑のまま続けています。

ですから、プラセボ効果も弱くなってしまい、いくら思考しても現実が変わらないのです。

この楔を断ち切って、強く信じる事ができるようになれば、思考は本当に現実化していきます。

脳の神経伝達物質は内臓や免疫に素早く届いて変化の信号を送ってくれるでしょう。

信じる力が強ければ強い程、肉体は理想に向かっていくのです。

ではどうすれば強く信じられるのか?

プラセボの力を最大限に利用できるのか?

これを実現できるタイプは2通りいると思っています。

1.生まれつき信じ込みやすい人

ポジティブな言い方をすると素直な人。

冒頭の癌患者などはそうだと思いますが、とにかく人の言う事を純粋にそのまま受け入れられる事の出来る人です。

これは一種の才能だと思っていますが、こういう人はプラセボの恩恵を預かりやすいです。

人から言われた事を何でも信じて思考を現実化していく事ができます。

しかし、このタイプは重大な副作用を持ちます。

と言うのも、信じ込みやすいという事は、裏を返すと騙されやすいという事だからです。

詐欺には簡単に引っかかります。

上手い儲け話に簡単に乗って大損するようなリスクもあります。

催眠術にもかかりやすい傾向があり、悪人に都合よく振り回されたりもします。

そもそも人生を生きる上で、「信頼」と真逆の「疑心」も重要です。

疑ってかかる心の目が無ければ厳しい世の中を渡っていけません。

そういう意味ではこのタイプは余り教養の無い人とも言えます。

教養があれば物事を疑り深く見るようになるので、簡単に騙されて人生を狂わせられるような事は無くなります。

冒頭の癌患者が結局死んでしまった悲劇は、正に教養の無さとも言えるのです。

2.後天的に教養を身に着けた来た人

知識人とも言えますが、こういう人は物事を多角的に見る事が可能です。

例えば、断食健康法を取り上げてみましょう。

一般人が断食を良しとする理由は内臓が休まるから程度しか考えられていないと思います。

しかし、恐縮ですが僕のセミナー参加者なら、断食する事で細胞が逆分化を起こすという観点からも見る事が出来ます。

或いは、低糖質環境がクエン酸回路を活発にし、ATPが増えて体が若返っていくという観点からも見れるようになると思います。

また、遺伝子のレベルからも説明ができるでしょう。

このように断食1つ取っても、勉強している人は様々な角度から捉える事が可能になります。

そして、これが信じる力に繋がるのです。

多角的な観点から物事を見れるという事は信じられる要素が増えるという事です。

ちょっと変な例かもしれませんが、アマゾンの本のレビューと似ています。

1人しかレビューが無い本より、10人からレビューがあった本の方が信頼度は圧倒的に高まりますよね。

教養があるという事はそれだけ物事を信用できる数が増えますから、結果的に信じる力が強くなるのです。

勿論、偏屈になってはいけませんが、柔軟性を持って勉強に励んでいけば、信じる力は正しく高まっていきます。

その結果、プラセボ効果を最大に利用でき、人生が理想に向かっていくのです。

僕自身が小食で体を大きくできたのも、こういう事が強く影響していると思います。

通常は小食や断食をすると体が小さくなるとと思いがちですが、それこそ思い込みが体を小さくさせてしまいます。

僕は節食する事で筋肥大が起こるという仕組みも勉強して知っているからこそ、人並み以上の筋量を付けられるようになったのだと思います。

サプリメントの効果も同じです。

その成分の内容、歴史、背景などを詳しく知る事でプラセボ効果が発揮され、実際の効果が高くなります。

誰かがおススメしていたサプリメントを、「情報」として知るだけでは意味がありません。

そのサプリメントが「何故良いか?」を詳しく知る事で効果が絶大になります。

だからこそ、「効果のあるサプリメントを教えてよ」みたいな質問に僕は答え辛いです。

そんな風に上っ面を知っただけではまず効果は見込めないからです。

実は僕がブログやメルマガで実現したいのは、読者のプラセボ効果を高める事です。

それ以上もそれ以下もありません。

プラセボ効果が全てです。

だって、いつも着地地点は同じですよね。

毎回屁理屈こねて長い記事を書いてますが、結局辿り着く結論はだいたい同じです。

それでも僕が書き続けるのはプラセボ効果を高めて信じる力を強くさせたいからです。

時に間違って修正する事もありますが、そうやって様々な健康法や肉体改造法の後押ししてあげたいと思っています。

話が大分逸れてしまいましたが纏めると、プラセボ効果を友好的に使える2つ目のタイプを目指しましょうという事です。

そのために、日々学習の姿勢を持って下さい。

僕も微力ながらそれをお手伝いできるような記事を出して行きたいと思います。

長々と書きましたが今日言いたかったのはそれだけです。

参考になれば幸いです。

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コメント

    • F
    • 2016.04.20 4:29pm

    黒羽さん、メルマガありがとうございます。
    ファスティングを定期的に実施している50代男性です。
    今もファスティング中ですが4日目5日目の身体の爽快感を知っているので「多少の空腹感」も酵素ドリンクなるものと“ぬちまーす【塩】”で凌ぐことができています。
    プラセボ効果も相まって、定期的なファスティングで同年代の方よりも元気なつもりです。
    Shareさせていただきます。ありがとうございます。

黒羽根雄大黒羽根雄大

物理学専攻・元プログラマー、体を壊して仙人を目指す事になりました。

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