現代人は5人に1人が不眠と言われています。
不眠とはなかなか眠れなかったり、眠りが浅かったりする症状です。
若い人は余り実感が無いかもしれませんが、年を重ねる毎に不眠の悩みは増えてきます。
僕自身も少し感じています。
20代の頃はそんな事は全くなく、寝る事が一番の楽しみだったので、不眠なんて意味がわかりませんでした。
むしろ、忙し過ぎて寝る時間を確保できない事に悩んでいたものです。
しかし、30半ばを迎えてきてからは少し寝つきが悪くなってきた事を実感するようになりました。
寝床についたのになかなか眠れない…
夜中に途中で起きてしまう…
そんな事がパラパラ起こって来ました。
周りの友人にもそういう人が出て来ていますが、不眠で悩む方は結構いらっしゃいます。
先程、現代人は5人に1人が不眠と言いましたが、実は不眠は昔からある普遍的な悩みの1つです。
今とは事情が異なっているとは思いますが、古くは紀元前からその記録が見つかっています。
そう考えると不眠はなかなか奥の深い症状だという事がわかると思いますが、今回はそんな不眠の解消法についてお話してみます。
特に悩んでいないという方もいると思いますが、必ず周りには困っている人がいるはずなので、そんな人達に教えてあげてもらえたら幸いです。
最も多い睡眠障害
さて、不眠症と言っても色んなタイプがありますが、多くの人が患うのは「概日リズム睡眠障害」です。
これは、睡眠の質自体には問題無いのですが、不適切な時間に睡眠が起こって社会生活に合わせられない症状全般を言います。
簡単に言うと、体内時計の時刻合わせがうまく働かず、寝るべき時が来たのに眠れなくなるのです。
人間には24時間リズムというものがあり、通常は朝になると自然と目が覚めて、夜に自然と眠くなるのはご存知の通りです。
しかし、このリズムが何かしらの支障を受けると、朝なのに起きれない、夜なのに眠れない、というような事が起こって来ます。
ここで眠れない場合、多くの方が手を出すのが睡眠薬です。
最も有名なのはベンゾジアゼピン受容体作動薬ですが、これは脳の働きを鎮静させて眠りを促す睡眠薬です。
しかし、この薬は適切な睡眠とは異なる睡眠を作り出し、副作用として認知機能や運動機能に影響が出ますので、なるべく服用は控えた方が良いと思います。
では薬に頼らず、不眠を治すにはどうすれば良いか?
今回は2つの方法を紹介したいと思います。
1.テクニカルな方法
こちらは光のシグナルで時刻合わせを行います。
人間の体内時計は高照度の光情報を目から感じると、それから12~13時間を活動に適した状態に保つ性質があります。
そして、14時間後くらいから休息状態にして睡眠を促します。
この性質を利用して、狂った概日リズムを調整し、睡眠時間を調整していきます。
具体的に言うと、まず早朝の起き掛けに強い光を目に当てます。
二度寝しても構わないので、とにかく一度起きてカーテンを全開にし、太陽光を最大限取り入れつつ、部屋の電気もマックスに付けます。
夜眠れないという人は、概日リズムが後退しているのですが、朝に強い光を入れる事でリズムが前進します。
更に、夕方からサングラスをかけて光を遮断します。
すると、本当の時刻より夜が早くきた状態になるので、ますます概日リズムが前進します。
これらの作用で後退していた体内時計が調整され、夜間、自然と眠くなるようになります。
ちなみに、夜起きていられないという人はこの逆をします。
そういう方は概日リズムが前進してしまっているので、後退させるため、午前中にサングラスをかけて、夕方になったらなるべく明るいところに行きます。
こうする事で体内時計が後進して、入眠時刻を遅らせる事ができるのです。
これは時差ボケを治す方法でもあるので、海外にしょっちゅう出掛けるような人は知っておくと便利かと思います。
但し、この方法は1つ注意点がある事を覚えておいて下さい。
別のところでも言った事がありますが、サングラスは皮膚癌のリスクを高めます。
サングラスは強制的に光を遮断するわけですが、このせいで脳が夜と勘違いして、「メラトニン」なるホルモンを分泌するようになります。
メラトニンは夜間に出て睡眠を誘発する物質の1つなのですが、一方で紫外線を肌から守る「メラニン」を抑制する効果もあります。(メラトニンとメラニンは混同しやすいので注意)
メラニンはシミの原因などとして嫌われがちですが、強い太陽光から肌を守ってくれる防衛物質であって、これが抑制されると太陽光が直接肌に当たってしまいます。
要はサングラスをかけると体は夜間に適用して、肌が無防備となり、紫外線をガンガン受けて簡単に皮膚癌になってしまうという事です。
ですから、サングラスは時刻調整の時だけ使い、慢性的に使わないのが好ましいと思います。
特に海沿いにいる人は気を付けて下さい。
ちなみに、時刻調整のためサングラスの代わりにメラトニンのサプリメントを飲んでも構いません。
メラトニンも夜の合図になりますから、サングラスと同等の働きをしてくれます。
これが1つ目のテクニカルな方法です。
テクニカルついでに言うと、CBDオイルとラベンダーオイルも不眠症に効きます。
CBDは以前紹介した大麻草の成分ですが、これを服用した方のほとんどが熟睡できたという感想を述べています。
ラベンダーはアロマテラピーの精油の一種ですが、これは昔から使われてきた歴史ある睡眠対策です。
僕自身もそれぞれ実感があり、副作用もほぼ無いので1つの手段として持っておくと良いかもしれません。
2.根本的な解消方法
こちらは睡眠に対する考え方を変える事により、本質的に睡眠の問題を解決します。
最初に知っておいて欲しいのは、不眠は恐怖症になるという事です。
一度寝付けない経験をすると、眠りに対するこだわりが強くなり、眠れない事でストレスが溜まります。
これは不眠を経験した人なら実感があると思います。
健康に気を使って夜更かししないよう意識すればする程、かえって睡眠が浅くなってしまうのです。
そして眠れない事が不安になります。
不安があると頭は冴えてしまいますから、更に寝付けなくなります。
こうして不眠が慢性的に起こってきます。
「とりあえず横になっていれば体は回復するから」とアドバイスしてくれる方もいると思いますが、実際、布団の中でじっとしているのは辛いものです。
人間は暗くなると警戒心が強くなるようにできており、不安は一層高まっていきます。
昼間に考えたらそんなに深刻でない事も、暗い中では警戒心から悪い方へ考えてしまうのです。
こういった現象は歳を重ねる毎に強くなりますが、これは加齢により睡眠時間が短くなるためであり、いわば生理現象とも言えます。
たくさん眠ろうと思っても、生理的な睡眠時間を大きく超えて眠る事はできません。
それに、苦痛を感じて睡眠時間を補おうと長く寝床に付くと、ますます眠れなくなります。
2009年、2559人を対象とした研究内容で、寝床で過ごした時間と不眠の関連性を示すデータがあります。
それによると、9時間以上寝床で過ごす人は、それ未満と比べて不眠の頻度が高い事がわかりました。
つまり、長く眠ろうとして寝床につく事により、眠りの質が落ちているのです。
ここで僕が何を言いたいかと言うと、そんなに寝なくて良いという事です。
僕達の体は睡眠が必要になったら眠くなるようにできています。
逆に言えば、眠くない時は寝る必要が無く、起きているべきなのです。
そもそも、健康にとっても眠り過ぎは良くありません。
どうも睡眠は長いに越した事はないと思っている人が多いようですが、数多くのデータから眠り過ぎは不健康である事がわかっています。
睡眠と健康に関する疫学研究では、6~7時間の睡眠者が最も健康的です。
こうした「眠れなければ起きていれば良い」という概念を利用した「覚醒療法」と言うのも存在します。
これは主に不眠と鬱に悩んでいる方に使われるものですが、不眠に悩む患者を、逆転の発想で「断眠」させてしまいます。
一晩眠らず次の晩まで覚醒していると、睡眠欲求が自然と高まってきます。
その後に眠ると深い睡眠に入る事ができ、体調がみるみる改善していくのです。
ですから、発想を変えてみて欲しいのです。
「眠れなくて困っている」では無く、「起きている時間が多くてラッキー」という風にです。
覚醒している時間が多ければそれだけやれる事が増えます。
筋トレをする時間も作れます。
読書する時間も作れます。
新たな趣味の時間も割けます。
そうやって人生を有意義にするものとして、不眠を受け入れてみて欲しいのです。
寝床に付いて苦しんでいる必要はありません。
眠くなったら寝ればいいのですから、それ以外の時間は楽しく使って下さい。
そう考えていくと不眠への不安も消えて、逆によく眠れたりするものです。
最終的に眠るのを諦めるという不思議な着地をしてしまいましたが、これが本来の不眠への対処だと思います。
良かったら参考にして下さい。
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