
Tokyo仙人ジム
日本でもようやくPFASの危険性が広まって来ました。
PFASとはフッ素と炭素からなる合成化学物質の事で、
フライパン、炊飯釜、包装用品、撥水加工品、消火剤などに使われています。
耐熱性、耐油性、耐水性に優れ、爆発的なスピードで世界中に普及したPFASですが、
人類の健康と地球の環境を破壊する非常に危険な存在である事がわかっています。
今回はそんな恐ろしいPFASについて、なるべくわかりやすく
問題点や対策について話していきますので、興味ある方は見ていって下さい。
PFASと言うと馴染みのない方もいると思いますが、
テフロンと聞けば多くの方が聞いた事があるのではないでしょうか?
焦げ付かないフライパンで有名になったテフロン、それこそがPFASの代表作です。
滑りやすさを売りにしたテフロン商品は瞬く間に世界中に普及されました。
そのテフロンとしての地位を確立したのは、PFASの中で一位二位を争う有名な
「PFOA(ペルフルオロオクタン酸)」という化合物です。
名前がややこしいですが、PFOAはPFASの一部で、PFAS二大巨頭の一角と言えます。
もう一角は「PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)」という化合物で、
服、靴、カーペット、自動車の座席、包装紙、化粧品などに使われてきたPFASです。
PFASを語る時、必ずPFOAとPFOSが出て来ますので、是非覚えておいて下さい。
日本漫画を語る際、手塚治虫と鳥山明くらいのインパクトがある存在です。
フッ素と炭素の強固な組成は、熱に強く、水や油をはじき、事実上壊れる事がありません。
原子間の結合が強く、油分や水分など外部からの作用を寄せ付けないのです。
自然界での分解には数千年を要する事もあるため、
PFASはフォーエバーケミカルとも呼ばれるようになりました。
実際、土壌中での半減期は1000年以上になるものもあり、
人体での半減期は5年、95%排出するまでに40年かかります。
子どもの頃に被爆すると定年を迎えるまで残留してしまう恐ろしい化学物質で、
正に呪いのような物質です。
そんな永遠の化学物質は水、食品、日用品、大気、埃など、様々な経路から
人体に入って来ますが、実際にどのような健康被害があるのでしょうか?
PFASは2012年、下記6種の病状との関連性が確認されています。
PFASは血液、肝臓、腎臓などタンパク質と結びつきやすい事がわかっており、
被害は体が小さく、排出能力の弱い子どもは特に影響を受けやすいとされています。
残留性が高いため体内に蓄積され、子宮から胎児に母乳から乳幼児に受け渡されます。
特に日本では母乳から検出される値が突出して高く、
乳児は他国の成人と比較して10倍多くのPFOAを摂取しています。
PFASが子どもに及ぼす害は下記の通りです。
地球の未来にとって、非常に危険な存在である事がわかると思います。
PFASの汚染が最初に確認されたのは1975年、
一般市民の血液検査からPFOSが検出された事が始まりです。
2005年には人類がほとんどいない北極に住むホッキョクグマの体からPFOSが検出され、
世界中に汚染が拡大している事がわかりました。
そして2007年、米国の血液検査により米国民の99.7%からPFOA、
99.9%からPFOSが検出されます。
もちろん、日本にも汚染は広がっており、特に大阪ダイキン工業周辺、
沖縄米軍基地周辺、東京多摩地区の地下水からは、
基準値を大幅に超えるPFASが検出されました。
2008年の血液調査では、仙台や高山でもPFOSが比較的高濃度で検出されています。
先ほど言ったように、PFASは体が小さいほど被害を受けやすく、
汚染は男性より女性、成人より子どもに顕著である事がわかっています。
乳児は臍帯血経由でPFAS被爆し、
2004年~2005年の血液検査でPFOAが100%検出されています。
そして、PFASは食物連鎖によって濃縮し、
河や湖の淡水魚は水と水中生物の捕食により、高いリスクでPFAS汚染されており、
貝類やカニ類の汚染レベルも極めて高い事がわかって来ました。
一応、犯人を明確にしておくと、米国のデュポンと3Mです。
両社とも戦争で莫大な利益を上げて成長した化学メーカーですが、
1930年代に3Mが製造したPFOAとPFOSの供給を受けて、
デュポンがテフロンを生産し、10億ドルの収益を生む大ヒット製品となりました。
その後、環境汚染・健康被害が出ている事が発覚するも、
二社は隠蔽し製造を続けた事で、汚染は世界中に広がってしまいます。
日本でもこの二社の流れを受けるダイキン工業、旭硝子(AGC)、
三井・デュポンフロロケミカル(三井・ケマーズフロロプロダクツ)によって、
汚染は深刻なものとなりました。
被害が隠せないところまで来て、ようやくデュポンも3Mも国際的に
制裁を受ける事となり、PFASは世界中で規制されるようになります。
PFOSは国連のストックホルム条約(POPs)で附属書B(制限)に追加され、
日本の化学物質審査規制法(化審法)で第一種特定化学物質に指定されます。
PFOAもPOPs条約で附属書A(廃絶)、化審法で第一種特定化学物質となりました。
そして、PFOAの代替として開発された
「PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)」も、
POPs条約で附属書A(廃絶)、化審法で第一種特定化学物質となります。
先ほど、PFOSとPFOAを手塚治虫と鳥山明と表現しましたが、
PFHxSは尾田栄一郎に相当する近年の傑物で、
現時点で規制がかけられているPFASはこの3つになります。
その他、PFNA(ペルフルオロノナン酸)、PFBS(ペルフルオロブタンスルホン酸)、
GenX(HFPO-DA)など他にもたくさんのPFASがあり、規制対象ではないものの、
健康や環境への影響が懸念されており、各国や地域で規制強化が進められています。
ここで現実的にわかりやすい指標をお伝えしますと、日本では2020年、
PFOAとPFOSに関して、厚生労働省が「目標値」、環境省が「指針値」として
「50ppt」を導入しています。
pptというのは1兆分の1という意味で、1L中に1ng存在する状態を指し、
ng/Lという単位で表記される事もあります。
日本では50ppt(ng/L)を超えたら危険と判断されているという事になります。
しかし、目標や指針という言葉から逃げている事がわかる通り、
専門家は一桁にすべきであり、2種類だけというのも甘いと指摘しています。
実際、2024年に米国の基準値はPFOAもPFOSも4pptとなり、
PFHxS、PFNA、GenXも10pptに決まり、
日本の評価が甘過ぎる規制が浮き彫りになって来ています。
日本は放射線問題も低周波音問題もそうですが、
環境問題を軽視し過ぎる傾向にあります。
ちなみに、日本の汚染で特に深刻だった場所として、
大阪ダイキン工業周辺、沖縄米軍基地周辺、東京多摩地区とお伝えしましたが、
2019年の調査では下記の結果が出ています。
このような環境下で健康的な暮らしができるはずありません。
PFOSやPFOAなど規制は始まりましたが、既に汚染された地下水は簡単に戻りません。
また、新規に製造・販売はされなくなっても、
以前に製造された消火器やテフロン調理器具などのPFAS商品は使用されています。
そして、未規制のままとなっているPFASも存在します。
更に、PFASは活性炭で吸着できると言われていますが、
その活性炭自体の処分方法がわかっていません。
こう考えると、PFAS問題は放射性問題と類似する事がわかると思います。
非常に難しい課題が山積みなのですが、一先ず自分達にできる事と言えば、
環境省のHPで住んでいる地域の汚染度合いを調べる事かと思います。
「環境省 PFAS」で検索したり、AIに質問して調べてみて下さい。
ヤバそうだったら、自宅の水道水のPFAS検査をしてみるのも手だと思います。
昨今はミネラル検査のように、気軽にPFASの検査ができるサービスが出て来ました。
除去対策としては手軽な活性炭フィルターから
厳格な逆浸透膜フィルター(RO膜)まで考えられますので検討してみて下さい。
先ほど言ったようにフィルターをどう処理するかという環境問題は残りますが、
取り急ぎ自身の健康問題を取り除く事はできると思います。
という事で、今回は遂に日本でも注目を浴びて来たPFAS問題についてお話しました。
参考になれば幸いです。
PS:
今回の記事をネタに三ツ星生活ラジオで深掘りした話をしていますので、
良かったら合わせて聞いて頂けたらと思います。
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