Tokyo仙人ジム
東電福島原発事故から10年以上が経過しました。
当時は放射線被爆で大騒ぎになったと思いますが、
今では騒いでいる人を余り見かけません。
もはや完全に忘れ去っている人も多いのでは無いかと思います。
しかし、ご承知の通り放射線被爆の健康被害は
数十年~数百年に渡る長期的なもので消えたなんて事はあり得ません。
同じく大騒ぎされたコロナとは性質が全く異なり、
一時的な体調不良で終わる安易なものでは無いのです。
と言う事で、今回は僕が最近読んだ放射線防護に関する論文をベースに、
フクシマの進捗と現状をコロナとの比較も交えてお話していきます。
元々、原発事故当初から定期的に放射線の情報発信をしておりますが、
昔からお付き合いのある方は久しぶりの更新だと思って見て下さい。
改めてフクシマを見直して思ったのは、コロナと真逆の対応だったという事です。
COVID-19は多くの方が感じている通り、明らかに過大評価されていました。
誤解を恐れずに言えば、ただの風邪に対して人類の危機を煽られていたと思います。
一方、福島第一原子力発電所事故は瞬間的に騒がれたものの、
すぐに沈下して安全側に振り切られました。
専門家の計算上、フクシマの放射線総放出量はチェルノブイリの2倍以上にも関わらず、
ほとんどの人が忘れ去るレベルに落ち着いてしまったのです。
安全に振り切った一番わかりやすい事例は「食べて応援」というキャッチコピーです。
一見、温かく優しい印象がありますが、よく考えれば身の毛もよだつ恐ろしさです。
本来、汚染された土壌は表土5cmを剥離して除外しなければなりませんでしたが、
国は補償金まで出して農業を継続させ、被爆した食物を全国にお届けしたのです。
そして、これをスムーズにしたのが、データ改竄ならぬデータ未作成です。
フクシマでは放射線被爆で最も有力な指標となる甲状腺被爆の測定が正式に行われず、
便宜的に行われた測定も37万人中1080人のみでした。
残念な事にフクシマはデータが余りにも少な過ぎて、
チェルノブイリとまともな比較すら出来ない状況になっています。
データが無い事が最強の安全主張というわけです。
これを背景に高線量を受忍させる体系が作り上げられ、
放射線の基準値も20倍に引き上げられました。
住民は危機感が無くなり、他県民は気にもしなくなります。
一部、被爆の症状を訴える人に対しては、精神疾患に分類して
心理学的ケアを行うという無茶苦茶をやって来たのが現実です。
前途の通り、フクシマの直接的なデータ分析は行われませんでしたが、
間接的に全国の死亡数にどう影響があったかの解析がされています。
そこで最も目を引くのが、事故後9年間における
高齢者の異常な死亡数増加と、若者の異常な死亡数減少というデータです。
簡単に言えば、高齢者がバタバタ死んで、若者は元気になったのです。
前者はわかるとして、後者に何が起きたのかと言えば、
「ホルミシス効果」が確定的だろうと推察されています。
ホルミシス効果とは、放射線で傷ついた体が抵抗するように強くなる現象の事で、
簡単に言えば筋トレで筋肥大するのと同じです。
広く言えばワクチンも同じコンセプトですが、煙草ですら少量摂取する事で
白血球が増加する事がわかっており、微量な放射線被爆でも免疫力が向上するのです。
高齢者にホルミシス効果が生じなかったのは抵抗に回復が追い付かなかったためで、
筋トレで言えばオーバーワークで怪我をして成長どころでは無かったという事です。
では若者の被爆が問題無いかと言えば、そうとも言えないのが興味深いところです。
広島原爆の追跡調査によると、放射線被爆で一時的に免疫力が上がっても、
老齢化に伴い発癌率が上昇し、最終的には短命化に帰結するようなのです。
何故、免疫力が上がった後で発癌率が上がるのかの詳細なメカニズムは謎ですが、
文献の結論としてはそのように書かれています。
いずれにせよ、放射線被爆は長期的に考えるべき問題です。
コロナの症状と違って(後遺症まで含めて)短期的ではないのです。
当時から放射線被爆の影響は10年経って顕著化すると言われており、
僕もさんざんそのように話して来ました。
実際、被爆症状で有名な甲状腺癌の発生率は、福島県民で100倍規模になっています。
福島県に収まらず、全国の死亡率も2011年の事故時から継続的に上昇中です。
特にアルツハイマーなど放射線の影響を受けやすい
脳の機能障害で死亡するケースが劇的に増加しています。
その他、心疾患、緑内障、知的障害も同時期から常に増え続ける一途です。
最近は発達障害や過敏症の原因になっているという説も出て来ました。
そして、被害は現在進行形である事を理解する必要があります。
チェルノブイリは石棺でカバーする封じ込め対策をしましたが、
フクシマは大気と土壌と海水に撒くという環境への拡散を採用しました。
問題を先送りしないと言えば聞こえはいいですが、
常に被害者を出し続ける選択である事も忘れてはなりません。
こうした状況を踏まえて考えてみて欲しい事があります。
昨今、原発不明の癌や原因不明の疾患による死者が増え、
その原因がコロナの後遺症やワクチンの副反応と考える意見がありますよね。
確かにそれもあると思いますが、それと同等か、もしかしたらそれ以上に、
長期に渡る放射線被爆が影響している可能性が十分にあると思っています。
少なくとも東日本に住んでいる方は10年以上に渡って被爆し続けているので、
そろそろ重篤な病や死に繋がる疾患にかかっても不思議ではありません。
少しだけ込み入った話をしますが、被爆には2種類あります。
・外部被爆(外部刺激)
・内部被爆(内部応答)
外部被爆はγ線による大気中からの遠距離被爆で、
内部被爆はα線とβ線による食べ物・泥・埃などからの近距離被爆と思って下さい。
以前、γ線はスナイパーの殺し屋、α線とβ線はナイフを持った殺人鬼、
と表現した事がありますが、そんなイメージです。
科学的にはいずれの放射線も電子を切り離すという仕組みで、
DNAや細胞膜などあらゆる組織を切断・破壊します。
更に放射線は人体の3分の2を占める水分子をも切断し、
そこから多大な活性酸素が発生して無限ループ的に組織が破壊されていきます。
ただ、γ線による外部被爆は広範囲の薄く均等な攻撃であるため、
体内に広く分布する生体酵素によって比較的速やかに修復されます。
一方、α線とβ線による内部被爆は局所的な集中攻撃となるため、
分散して存在する生体酵素では修復が追い付きにくい特徴があります。
要は一点突破してくる内部被爆の方がしんどいという事です。
外部被爆は個人でもガイガーカウンターである程度は計測可能で、
安全基準も「1mSv/年」と法律で定められていて明確です。
僕は昨年、東北から関西まで移動する機会があり、各県で線量を計測してみましたが、
例えば福島第一原子力発電所から約100kmにある福島松川PAでは0.16μSv/hでした。
これに24時間365日を掛けて1000で割ると1.4mSv/年になり、安全基準を超えます。
放射線量はスポットで全然変わるので一概に言えるものではありませんが、
基本的には発電所に近づくにつれて更に高くなるものと推測できます。
ちなみに、秋田でも同じくらいの値を示す場所がありました。
この値は事故直後の東京ともほぼ同じでしたが、
同年同月測った東京は0.11μSv/hに下がっていました(インスタに掲載)。
つまり、0.96mSv/hなので、東京は安全基準の内側に入った可能性があります。
こうした外部被爆系のデータは個人差が少ないので参考に出来るかと思います。
さて、より重要な内部被爆の方ですが、こちらは安全側に振りたい
公的機関から完全に無視されており、法律でも定まっていません。
一応、食品の目安として100Bq/kgと言うのがありますが、
多くの市民団体はこれよりずっと低く設定していて信用が難しいところです。
そもそも測定が困難で、結果も共有しにくい特徴があるため、
現実的に出来る事は、食品産地と食物連鎖濃縮を気にする事ではないでしょうか。
産地と言えば事故から10年後、相馬沖で獲れたクロソイの放射線量が
1400Bq/kgあったという記事が河北新聞から出ており、
気仙沼で獲れたイワシの背骨が全て曲がっている写真も掲載されています。
また、食物連鎖の上に行くほど放射性物質が濃縮されていく事に関しては、
緩々な厚労省ですらマグロを例に注意を促している事から信憑性があると思います。
それから食品以外に土や埃からの内部被爆も危険なので、
土で汚れた箇所は洗い、埃を集める電化製品を減らすなどの対策が考えられます。
外部被爆にせよ内部被爆によせ、放射線は今も日本人に大きな影響を与えていますが、
それと反するように世界は被爆を安全側に振るよう動いています。
加えて、コロナなど過大評価された話題性十分の被害が目くらましになって、
うっかりフクシマの現状を忘れさせる状況が作られていると思います。
人生、忘れる方がが良い事もありますが、忘れてはいけない事もあります。
大切な事から目を反らさず、目新しい事に振り回されず、
自分と世界にとって最良の選択をし続けて欲しいと思っています。
最後に、今回お話した元ネタの論文を紹介します。
琉球大名誉教授の矢ヶ﨑克馬先生による発表前の資料になりますが、
拡散希望されておりましたので、勝手ながら配布させて頂きます。
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